大阪桐蔭で根尾昂と同じ6番。ラグビー部の怪物2年が花園優勝に貢献

  • 斉藤健仁●取材・文・撮影 text & photo by Saito Kenji

 1年前は悔し涙を流して目を真っ赤にしていた少年が、今年は校歌を歌いながら仲間らと肩を組み、うれし涙を流した。

 1月7日、大阪・東大阪市花園ラグビー場で全国高校ラグビー大会の決勝が行なわれた。頂上決戦まで上り詰めたのは、昨年度準優勝の大阪桐蔭(大阪第1)と、春の選抜大会2連覇中の桐蔭学園(神奈川)。平成最後の花園王者を争うカードは、Aシード同士の「桐蔭対決」となった。

大阪桐蔭の花園初優勝に大きく貢献した2年生の奥井章仁大阪桐蔭の花園初優勝に大きく貢献した2年生の奥井章仁 結果は、平均体重95kgを誇るFWの圧力と粘りのディフェンスを見せた大阪桐蔭が26-24で桐蔭学園に競り勝ち、13度目の出場で初の栄冠に輝いた。なお、今年度の大阪桐蔭は野球部も春・夏と甲子園を制しており、同一年度で野球とラグビーがアベック優勝を果たしたのは史上初のことである。

 野球部の根尾昂(2018年のドラフト1位で中日が指名)と同じく「大阪桐蔭の6番」を背負い、今大会通して強力FWを引っ張っていたのが、2年生FL(フランカー)の奥井章仁(あきと)だ。キャプテンCTB松山千大(ちひろ/3年)が「怪物」と称する奥井は、決勝でも激しいボールキャリアやタックルを連発してトライも挙げ、優勝の立役者のひとりとなった。

「昨年度は準優勝でしたが、キャプテン中心にしんどいこともやってきたので、自分もうれしいし、チーム全体でも100点のプレーができました!」

 ノーサイド後、奥井は夕日に照らされながら人なつっこい笑顔を見せた。だが、山本健太コーチと抱き合うと、涙腺がたちまち崩壊してしまう。

「コーチと1年後、もう一度ここ(決勝)に立って優勝しようと(約束していたので)......。気持ちが入ってしまいました」

 小学1年生から大阪・枚方ラグビースクールで競技を始めた奥井は、同時にソフトボールをプレーしていたこともあり、ハンドリングスキルが自然と身についたという。ラグビーの強豪・東海大仰星は自宅の近所にあったが、綾部正史監督の熱心な誘いもあり、「FWでガツガツ行くところに惹かれた。大阪桐蔭で日本一になりたい!」と大阪桐蔭への進学を決める。

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