W杯ベスト8にまっしぐら。ラグビー日本代表が強豪ジョージアに完勝 (2ページ目)

  • 松瀬 学●文 text by Matsuse Manabu   齋藤龍太郎●写真 photo by Saito Ryutaro

 全員が鋭く前に出る。高速のディフェンスシステムは機能してきた。それぞれが自分の役割を理解し、互いの連係を意識しながら、プレッシャーを相手にかけ続けた。危ない場面でもよく、我慢した。

 とくに接点での健闘である。ディフェンスコーチ、ジョン・プラムツリーの細かい指導のもと、この1週間、最初のヒットには誰がいく、相手の内側・外側には誰がいく、と決め事をつくって、反復練習をしてきた。

 相手をノートライに封じることができたのは、もちろんジョージアの攻めが一辺倒だったこともある。ポイントの近場に2人で突っ込んでくる。その繰り返し。バリエーションは少なかったし、ミスも多かった。

"タフガイ"のロック真壁伸弥は「練習の成果が出た」と満足そうな表情で漏らした。笑顔の額に汗が浮かぶ。

「ジョージアに対しては、そこ(ブレイクダウン)で勝負しないといけない。マインドセット(心構え)のところでもしっかりやりました。すばらしかったのは、僕らがフィジカルで普通に勝っていたことです」

 惜敗したイタリア第2戦ではマインドセットで後手を踏んだ。だから、この日はより、アグレッシブに。フィジカル強化の成果だろう、タックルではしっかりポジショニングして、相手の芯に強く当たっていく。タックル成功率は104本中97本の93%(相手82%)の好数字を残した。

 勝因が、加えてスクラムである。これまでジョージアにはスクラムからやられていた。でも、この日はスクラムで、まったく危なげなかった。相手の駆け引きに困惑した部分はあったが、きちっと修正できた。

 後半8分、相手の22mラインを越えた辺りの左側のスクラムだった。ジョージアボールだったが、堀江翔太は勝負に出た。32歳のベテランフッカーが述懐する。

「いいエリアでチャンスがきたので仕掛けようと考えて、押しにいきました。いきなりプレッシャーをかけたので、対応はしてきたんですけど、向こうは崩れましたね」

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