南アの名将も惚れた。明大・山沢京平は
打倒・帝京&世界進出を目指す

  • 向風見也●文 text by Mukai Fumiya
  • photo by Nishimura Naoki/AFLO SPORT

 ラグビー大学選手権で帝京大の9連覇阻止にあと一歩と迫った明治大のなかに、世界的名将も惚れ込んだ逸材がいる。山沢京平──。深谷高校(埼玉)出身の1年生だ。

 帝京大との決勝戦、山沢はフルバックとしてフル出場し、王者相手に堂々としたプレーを披露した。

大学選手権決勝でも1年生ながら堂々としたプレーを披露した明治大・山沢京平大学選手権決勝でも1年生ながら堂々としたプレーを披露した明治大・山沢京平 後半10分、敵陣左10メートルエリアで味方のロングパスを受けると、間合いをとっていた防御ラインに向かってやや前傾姿勢で直進。ディフェンスが迫ってくると見るや、その背後にふわりと球を蹴った。慌てて戻った相手選手の落球を誘い、明治大は自軍でのスクラムを獲得した。

 結局、得点には結びつかなかったが、山沢が見せた判断力の正確さと技術力の高さにスタンドは沸いた。

 過去12度、大学日本一を成し遂げている明治大だが、近年は低迷を続けていた。だが、山沢のほかにも同学年にロックの箸本龍雅(はしもと・りゅうが)やセンターの森勇登など、経験豊富なタレントが入部。名門復活に向け、期待は高まっている。

 決勝の前、山沢は「緊張を楽しもう」と心がけていた。実は、大東大との準決勝で山沢は捕球ミスを連発。それを受け、決勝戦までの過ごし方をこれまでと少し変えたという。

「大東大戦は緊張にやられてしまった。ああいうミスはチームに迷惑をかけるので反省しました。(決勝までは)試合のことも考えましたけど、ずっとは考えないように......リラックスすることを大事にして、ピッチに立ちました」

 身長177センチ、体重79キロ。世界に挑むにはまだまだ細身の山沢だが、走り出したときのスピード、防御の隙間をすり抜けるときのボディバランス、スペースをえぐるパスやキックにも定評がある。

「本当にいい選手です。ほかの選手とは違う、際立つものがある。ボールを持ったら、何を起こしてくれる」

 その若き才能に惚れ込んだのは、トップリーグのトヨタ自動車のジェイク・ホワイト新監督だ。

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