団結力で戦う「日本流スクラム」は2019年W杯で世界に通用するか (4ページ目)

  • 向風見也●文 text by Mukai Fumiya
  • photo by FAR EAST PRESS/AFLO

 それでもルーマニア代表を33対21で下すと、17日には2年後のW杯で日本と同組となるアイルランド代表と対戦。しかし日本代表は、若手主体のアイルランド代表に22対50で敗れ、スクラムでも終始劣勢だった。特に印象的だったのが前半11分。フッカーと右プロップの間を割られ、スクラムが崩壊。そのまま、この試合最初のトライを奪われた。

 24日にアイルランド代表との再戦を控えていた日本代表は、すぐさま改善策を立てた。

 アイルランド代表のフロントローは、日本代表側から見て、右に回り込むように押してくる。日本代表はそれを受け、最前列3人の密度を再強化。練習では「右、寄れ!」の掛け声とともに、フッカーと左プロップが右プロップを助けるイメージを共有した。フッカーの庭井祐輔はこう説明する。

「全体の角度を合わせるために、1番から方向づけをしようということです」

 アイルランド代表との2戦目。前半はフッカーの庭井、右プロップの浅原といった身長170センチ台のフロントローが相手の胸元に刺さる。また、19日に緊急合流したロックのトンプソン・ルークも見事にシステムと調和し、懸命にスクラムを押し込んだ。

 後半になると、W杯イングランド大会で活躍した堀江翔太や稲垣啓太が登場。そして32分、敵陣ゴール左前で相手ボールのスクラムを迎えた。アイルランド代表の苛烈な押しを、日本代表のフロントローは横一列になって懸命に耐えた。次の瞬間、たまらず相手の頭が落ち、アイルランド代表にコラプシングが判定された。

 試合は13対35で敗れたが、スクラムでは修正能力の高さを示した。

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