団結力で戦う「日本流スクラム」は2019年W杯で世界に通用するか (2ページ目)

  • 向風見也●文 text by Mukai Fumiya
  • photo by FAR EAST PRESS/AFLO

 このスクラムの特徴は、相手と組み合う前から各選手の役割が決まっていることだ。まずフロントローと呼ばれる左右のプロップ(それぞれ1番、3番)と中央のフッカー(2番)の3人が、互いに脇の下から腰までを密着させ、両肩の肩甲骨を前にせり出し、背筋を伸ばしたまま前傾姿勢をとる。それぞれの力を結集させ、相手に真っすぐ伝えるためだ。

 セカンドローと呼ばれるふたりのロック(4番、5番)は、フロントローのお尻とお尻の間に頭を入れ、地面にヒザをつけたまま背筋を伸ばし、力を加える。また、スクラムの側面に入るフランカー(6番、7番)は、フロントロー同士の間隔が広がるのを防ぐべく、斜め前方へパワーを与えていく。そしてふたりのロックの間に入るナンバーエイト(8番)は、ロックと同じような体勢で押し込んでいく。

 足の裏が地面から離れる時間を最小限にとどめながら、全員で呼吸を合わせて足を前に掻く。個々のパワーを前面に押し出す列強国に対し、低い姿勢で一致団結する日本人の強みで対抗する。長谷川の見立てはこうだ。

「1対1では海外の選手の方が強いかもしれない。ただ、日本の選手は"(コーチの提示した形に)はまる技術"がすごい。8人のなかで自分がどう組むのかを理解しながらやっている」

 サンウルブズは、大男が揃う南アフリカカンファレンスに加わりながら、第5節までスクラムでの自軍ボール獲得率100%を保持。長谷川の妥協なき指導で、日本人のみならず海外出身の選手も"はまる技術"を貪欲に習得していった。

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