世界一オールブラックス指揮官が京産大に教えた「ラグビーのメンタル」 (2ページ目)

  • 斉藤健仁●文・写真 text & photo by Saito Kenji


 世界一の指揮官は、オールブラックスでも採用している、失敗したときのメンタル的な対処方について具体的に説明した。考えないで自然と行動する「ブルーヘッド」、心配やミスで自分が対応しきれない「レッドヘッド」という状況があり、当然、ラグビーの試合ではブルーヘッドが望ましという。

 ただ、現実的には試合で3~4回、「レッドヘッド」になるかもしれない。どうやってその状況から抜け出すか。どうしてそうなってしまったのか考えて、気持ちを切り換え試合に戻るべきだと説く。つねったり、視野を広く持ったり、水を頭に掛けたりと、その具体的な方法も紹介した。そして試合後は、また同じ状況が起きる可能性があるので、また起きたとき、どう対処するのか、きっちりと試合後にノートに書いておくことを勧めていた。

 その後はグラウンドに移動して、踏み込んだ足に力を入れるNZ流のタックル、そしてFWの選手たちはボールが外に出てしまった後のラインアウトに関してのコーチングをして、2011年のワールドカップでトライをとったサインプレーも紹介し、終了となった。選手たちにとっては、グラウンドでの指導よりも、座学の印象が強かったようで、多くの大学生が「メンタルの講義がためになった」と声を揃えていた。

 コーチングを終えて、ハンセンHCは「非常に特別な機会でした。選手は熱心でしたし、京都は美しい場所ですし、景色も素晴らしいですし、施設もワールドクラスでした」と振り返った。

 日本ラグビーの印象については、こう語る。

「ニュージーランドと比べると、日本ラグビーの歴史は短いですが、2015年のワールドカップでもいい成績を収めましたし、どんどん代表チームはよくなっています。何より日本のみなさんに、よくしたいという気持ちが強い。2019年にワールドカップ開催に向けて、盛り上がっていると機運を感じています」

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