五郎丸歩の活躍を難しくしたRCトゥーロンの複雑なチーム事情 (3ページ目)
「ハーフペニーよりは下、ミッチェル、オコナーとは同等レベルだが、ゴロウマルのフルバックとしての才覚がベルナールより下だということはありえない」
この頃、チームのほうも深刻な状況に陥っていた。
その第17節のラ・ロシェル戦は終了間際にPKを決められ20-23とホームで勝利を逃し、第19節のブリブ戦ではアウェーとはいえ格下に15-5と封じられ、プレーオフで有利なホームアドバンテージを得られる3、4位のポジションが危うくなり、フォードHCには会長から猛烈なプレッシャーがかけられていた。
サポーターや会長を怒らせていたのは、「敗戦」という試合結果だけでなく、覇気や才気を感じられない選手たちの戦いぶりだったが、このとき実際、チーム内はバラバラの状態だった。
トゥーロンにはもともと、フランス人選手とアングロ・サクソン系選手の派閥がある。試合に勝ち続け、調子がいい時には互いに仲がよい。
しかしひとたび不振に陥ると、お互いに責任をなすりつけあう。
フォードがヘッドコーチに任命されたとき、地元記者が「ゴロウマルは英語ができるのか? でなければメンバー入りは厳しい。フォードは英語ができる選手しか使わないから」と言っていた。よくあるフランス人の皮肉だろうと思っていたら、そうではなかった。
フォードHCはトゥーロンで、自らがイングランドのラグビー界で培ってきたメソッドを注入しよう奮闘した。一般的にイングランドのラグビーは、フランスよりもより組織だっていて規律にも厳しい。
欧州チャンピオンズカップの対サラセン戦を取材した英サンデー・タイムズのラグビー担当スティーブ・ジョーンズは嘆いていた。
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