【ラグビー】W杯まで20日。チーム一丸でジャパンの歴史を変える (2ページ目)

  • 松瀬 学●文 text by Matsuse Manabu
  • 齋藤龍太郎●写真 photo by Saito Ryutaro

 フッカーの堀江翔太もまた、満足げな笑顔を浮かべた。「エディーさんがどっかに行くとか関係なしに、僕たちはチーム一丸となってやっていることを、観客やファンに見せられたかなと思います」

『チーム一丸』。これぞW杯での最大のポイントである。この日のゲームプランは相手のラインの裏のスペースを取るため、キックも使っていった。だが、グラウンド状態はそれほど悪くない。ハーフタイム中に、後半はもっと前に出よう、積極的につないでいこうと意思統一されたのだった。
 
 これで勢いづいた。コミュニケーションがいい。日本らしいリズムが攻めに加わった。ウイングに入った松島幸太朗、カーン・ヘスケスの鋭いラン、五郎丸歩の安定したゴールキック、ツイ・ヘンドリックの突破、復帰した真壁伸弥のハードタックル......。
 
 後半26分、真壁が低いタックルで相手を倒し、すかさず途中交代のプロップ渡邉隆之がボールを奪取、左ラインに回して最後はウイング福岡堅樹が左隅に飛び込んだ。この時ばかりはスタンド最上段のスタッフルームのジョーンズHCが窓から顔を出し、大声を発して喜んだ。「いいラグビー!」

 もちろん、よく見れば、課題も多々ある。ブレイクダウン(タックル後のボール争奪戦)である。ディフェンスのターンオーバー(相手ボールの奪取)は福岡のトライにつなげた1回だけ、逆にアタックでは何回もターンオーバーを許した。特に敵陣22メートルライン内に入ってから密集でターンオーバーされることが多過ぎる。

 さらにいえば、細かいハンドリングミス、判断ミスも目立った。つまりはプレーの精度とコミュニケーション。決して満足しないジョーンズHCはこう言った。

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