【ラグビー】大学選手権第2Sスタート、帝京大6連覇は盤石か? (3ページ目)

  • 松瀬 学●取材・文 text by Matsuse Manabu
  • 井田新輔●写真 photo by Ida Shinsuke

――C組には明大もいます。
「明治に関しては、FWの強さをもっと前面に出さないとダメだと思います。早明戦でトライを取った時の強みをなぜ、消すのかなって思います。もっとシンプルに。シンプルにゲームを組み立てるチームが勝つのかな、と思います。梶村(祐介)をセンターに戻して、ボールタッチの回数を増やした。そのように自分たちのキーマンをどう生かすのか。どこでボールを持たせるのか。しっかり考えたゲームプランを組みたてれば、怖い存在になるでしょう」

――明大に競り負けた関西王者の関学も潜在能力がありますが。
「ナンバー8の徳永(祥尭)がいるし、バックスにスピードのある選手もいる。ただ、関東の対抗戦グループ(明大・筑波大)中心に回るのは間違いないでしょう」

――D組はどうでしょう?
「もちろん、このグループもおもしろい。早稲田は藤田(慶和=フルバック)が故障から復帰したのが大きいですが、早明戦でシンプルかつ、非常に早稲田らしいラグビーをしたと思います。小倉(順平)がセンターに入って、藤田がより生きてくる可能性が出てきた。1年生のスタンドオフ横山(陽介=神奈川・桐蔭学園高)にはスキルがあるけど、これから負けたら終わりに近いゲームのプレッシャーにどこまで耐えられるかでしょう。FWは3番(右プロップ)に佐藤(勇人)が入ってスクラムが安定した。どれだけいいボールをとれるかは、バックロー(フランカーとナンバー8)の3人の出来が大きい。特に布巻(峻介)。帝京のフィジカルと対等に戦えるのは、早稲田では布巻ひとりだと思います。彼がいることで、相手の攻めをスローダウンさせることができます」

――東海大はどうですか
「フォワードが大型でスクラムが強い。FWが前によく出るし、バックスもスピードがあります。爆発力がありますよ。D組もどこが勝ち上がるか分かりません」

――B組はどうでしょうか。
「リーグ戦覇者の流経大はナンバー8(ジョージ・リサレ)とウイングの合谷(和弘)がキーですね。個人のレベルが高いチームです。破壊力もある。合谷が自由に動き出したら、もうチームの勢いは止まりません」

――ここには慶大もいます。
「このグループで勝ち上がる可能性はあります。すごく頑張っている。ただし、帝京と比べると、サイズ負けする。帝京に力でねじ伏せられた時にはモロさが見えました。慶応が勝ち上がるためには、パワーに対抗できる術を身につける必要があります」

――最後に大学ラグビーをジャパン強化につなげるためには?
「正直、大学とトップリーグの差は広がっています。圧倒的に違うのはゲーム運びのスピードです。スキルがなさ過ぎます。だから、スキルの高いゲームをもっと見たい。ラインアウトのスキル、パスのスキルひとつとってもそうです。簡単な3人対2人となっても、パスを満足に通せない。すごく下手くそになっているのではないですか。フィジカルも大事ですが……。高校もそうですが、スキルフルな選手を育てるような指導をしてほしいですね」

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