元日本代表・山田幸代が明かす、ラクロスが2028年ロス五輪追加競技となるまでの経緯 ルールやプレー人数の変更など「柔軟に対応できた」 (4ページ目)

  • 永塚和志●取材・文 text by Nagatsuka Kaz
  • 村上庄吾●撮影 photo by Murakami Shogo

【競技の普及のためにこれからも】

――ロサンゼルス五輪の予選方式はもう決まっているのでしょうか?

「今、決めている段階です。ワールドゲームズには今までは世界選手権のトップ8が出る形だったんですけど、地区予選で出場国を決めることになると思います。日本はアジア・オセアニア地区なので、そこから何チーム出られるか。出場国が8だったら多分、2チームしか出られない。もし12チーム出場なら、2、3チームは出られるかなと思います。

 現状のままだと日本がオリンピックに出場できる可能性は90%くらいあると思いますが、いろんな国が今、シクシーズにグッとシフトしていているんです。中国などはすごく伸びてきているので、私の中では危機感はあります」

――日本は出場となればメダルを狙うことも可能でしょうか?

「今、男女ともアメリカとカナダが強く、そこにイングランド、オーストラリア、日本が続く形です。日本は男女とも5位くらいのレベルで、男子は2022年のワールドゲームズで銅メダルを獲ってくれました。ですから、メダルを獲る可能性はあります」

――山田さんはロサンゼルス五輪とそれ以降のラクロスにはどのように関わっていこうと考えていますか?

「私は、どんな形であろうとラクロスの普及と子どもたちにこの競技を知ってもらう機会を作っていきたいと思っています。3月にある『レモンガス SEKAI CROSSE 2024』(18日と20日に大井ホッケー競技場と富士通スタジアム川崎に男女アメリカプロリーグのオールスターチームと南オーストラリア代表を招聘して試合を開催する)などを通じて、ラクロスに触れる機会を創出していくのが役割と思っています」

―― ゆくゆくは日本代表の監督にもなりたいとお聞きしています。

「そうですね、いつかは日本の選手たちに『世界』を伝えたい、一緒に戦いたいというのはあります。そのためには自分もまだまだ力をつけて信頼を勝ち取らなければならないですが、日本が強くなるためにも自分のできる最大限の協力をしたいと思います」

―― ラクロスにはおしゃれな印象もありますが、それも競技のアピールポイントですか?

「そうですね。ファッショナブルなスポーツであることは良さとして残していきたいですね。実際、見た目も生き様もかっこいい選手たちって多いんですよ。女子の場合、スカートを履いてかわいらしい格好なんですけど、フィールドに入ったらすごくかっこいい」

――最後に、改めてラクロスを見たことやプレーしたことがない人たちに向けて競技の魅力を教えて下さい。

「ラクロスはどんな人にもその人の特徴が生かせるポジションがありますし、すごく激しく、スピーディなスポーツで日本人にも世界が近いスポーツです。冒頭にも言いましたが、スティックですべてが完結するスポーツで、子どもたちにもぜひ1度、やってもらいたいです」

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【Profile】山田幸代(やまだ・さちよ)/1982年、滋賀県生まれ。中学からバスケットボールを始め長浜北星高では3年連続でウィンターカップに出場。京都産業大入学後にラクロスを始める。2007年には日本人初のプロ選手となり、2008年からはオーストラリアリーグでプレー。2017年のワールドカップ(世界選手権)とワールドゲームズにオーストラリア代表として出場している。世界ラクロス協会の理事やルール委員会サブコミッティチェアマンも務め、オリンピックで採用された6人制(シクシーズ)のルール策定にも携わった。株式会社Little Sunflower代表取締役社長。

プロフィール

  • 永塚和志

    永塚和志 (ながつか・かずし)

    スポーツライター。前英字紙ジャパンタイムズスポーツ記者。Bリーグ、男女日本代表を主にカバーし、2006年世界選手権、2019W杯等国際大会、また米NCAAトーナメントも取材。他競技ではWBCやNFLスーパーボウル等の国際大会の取材経験もある。著書に「''近代フットボールの父'' チャック・ミルズが紡いだ糸」(ベースボール・マガジン社)があり、東京五輪で日本女子バスケ代表を銀メダルに導いたトム・ホーバスHC著「ウイニングメンタリティー コーチングとは信じること」、川崎ブレイブサンダース・篠山竜青選手 著「日々、努力。」(ともにベースボール・マガジン社)等の取材構成にも関わっている。

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