元ソフトボール日本代表・長崎望未が語る現役時代 1年目で四冠達成も「よく思われていない噂を耳にして、精神的に追い詰められてしまって...」 (2ページ目)

  • 石塚 隆●取材・文 text by Ishizuka Takashi
  • photo by Tatematsu Naozumi

【ミッシェル・スミスに憧れて】

――なるほど。では、東京五輪で13年ぶりに金メダルを獲得した仲間たちの姿を、どのようなお気持ちでご覧になっていましたか。

「一緒に苦しいトレーニングを乗り越えてきたメンバーたちが活躍をしてくれて、みんなの苦労をよく知っている分、感情移入してしまって、涙をポロポロさせながら見ていました。本当に感動しました」

――自分のことのようにうれしかったんですね。ところで長崎さんは、小学校3年生のときにソフトボールを始められたとか。

「ひとつ下の弟が先にソフトボールをはじめて、その影響です。初めてバット持って素振りをしたら『タフィ・ローズ(元近鉄バファローズ他)みたいだ』と言われて。最初からパワー系だったんですよ(笑)。男子チームに所属していたのですが、男の子たちに負けじと泥まみれになりながらプレーをして、すごく楽しかったことを覚えています。
小学校6年生のときに初めて実業団のソフトボールの試合を観て、『こんな職業があるんだ』って驚いたんですよ。出場選手の中にミッシェル・スミスさんというアメリカ人選手がいらっしゃって、すごくカッコ良かったんです」

――ソフトボール界のレジェンドですね。

「投げては三振をバンバン取るし、打てば満塁ホームラン。名前を呼んだら笑顔で手を振ってくれたりと、ファンサービスも素晴らしくて。これは私のヒーローだなって。ミッシェルさんみたいな選手に憧れて、将来は絶対にソフトボールの選手になろうって思いました」

――そうだったんですね。

「中学校へ進むと、実業団に入るためにはどこの高校に進学するのが近道なのかを自分で調べました。学校のパソコン室にこもって(笑)。強豪校に行けば実業団への道が拓けると思っていたんです。私は愛媛県出身なのですが、地元の高校からは実業団に行った選手がほとんどいなかったので、兵庫や愛知などの強豪校の練習会にも参加させてもらって、結果、京都西山高校に進学することになりました」

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