2020.01.04

NFLプレーオフ開幕。MVP最有力の
韋駄天QBが新時代を切り開く

  • 永塚和志●取材・文 text by Kaz Nagatsuka
  • photo by AFLO



 結果、レイブンズのオフェンス陣はリーグ1位の1試合平均33.2得点をマーク。「ディフェンスチーム」というこれまでの印象を一転させた。

 相手チームのディフェンス陣は、ジャクソンのオフェンスを封じる"答え"をレギュラーシーズンで見つけられていない。ランかと思えばパス、パスかと思えばラン......。今季開幕前にパワー型RBのマーク・イングラムを獲得できたのも大きかった。相手からすれば、まるで悪夢のようなオフェンスを展開している。

 レイブンズオフェンスが機能しているのは、もちろんジャクソンの"脚"があるからだ。これまでも脚力自慢のQBは数多く存在したが、ジャクソンはNFL史上最高の呼び声さえある。

 第15週のニューヨーク・ジェッツ戦。ジャクソンはランで86ヤードを獲得し、それまでマイケル・ビック(元アトランタ・ファルコンズなど)の持っていたQBとしてのラン獲得距離のシーズンレコードを破った。最終的にレギュラーシーズンで1206ヤードを獲得し、この数字は全ポジションを通じてリーグ第6位。シーズンMVPの獲得は、まず間違いない。

 ジャクソンは現在22歳。先発としてフルシーズンを戦うのは初めてだが、スーパーボウル以外のポストシーズンすべてをホームで戦えることは、経験不足の彼にとって非常に大きい。レイブンズのディフェンスは1試合平均17.6失点でリーグ3位と安定しており、ジャクソンを局面で支えてくれるだろう。

 そのレイブンズの対抗馬は、AFC第2シードのカンザスシティ・チーフス(12勝4敗)だ。昨季シーズンMVPに輝いた24歳のQBパット・マホームズは、シーズン中盤にひざの故障で2試合を欠場。復帰後は、50TD(タッチダウン)をマークした昨季ほどの爆発力はないものの、確実性を増していた。

 スポーツメディア『ESPN』は、クォーターバックレーティングという独自のQB評価指標を作成している。これは従来のパサーレーティングよりも細かな状況を念頭に置いて測定しているため、QBの力量をリアルに反映していると評されているが、今季のマホームズはジャクソン(81.7)に次ぐ76.4を記録した。