おりひめジャパン、五輪を見すえて女子ハンドボール世界選手権に挑む (3ページ目)

  • 木之下 潤●取材・文 text by Kinoshita Jun
  • 田口有史●撮影 photo by Taguchi Yukihito

 試合後、LB塩田沙代は感想をこう語った。

「相手がうまくて、やられるプレーがいくつかありました。それがわかっていながら、何度も連続してやられてしまったのは課題です。ポストに高さのある9番の選手が入った時とそれ以外の選手の時、さらにLBの21番の選手がいる時と違う選手の時と、相手のプレースタイルと全体の動きが変わってくるので、そこに自分たちが対応できていなかった部分がありました」

 そういう厳しい戦いの中でも、母国デンマークの女子代表を世界選手権3位に導いた経験のあるキルケリー監督は手応えを口にした。

「フランスは世界選手権で準決勝に進むようないいチームです。16人くらいは世界のトップレベルの選手なので、私たちにとっていいチャレンジでした。フィジカル、テクニック、戦術と全面的に大きなチャレンジで、本当に選手たちを誇りに思います。いいパフォーマンスができた時間帯もありました。日本だけでなく、フランスを相手に苦戦する時間帯があるチームもたくさんあると思うので、苦しい時間帯になったときにお互い助け合ってまた上げていこうという話はしています。

 今日、きつい時間帯にしっかり立て直すことができたのはよかったです。個人でもいいプレーがありました。その中でも、亀谷さくら選手が大事なところでいいセーブをたくさんしてくれました。次のブラジル戦もいい試合をしたいと思います」

 この日、監督が名前を挙げたGK亀谷さくら、さらにCB石立真悠子のベテラン勢がディフェンスでチームを支えたことは、世界選手権に向けて収穫だったに違いない。そして、最終戦のブラジル戦は、これまで出場機会がなかった選手たちが多くコートに登場した。

 なかでも、デンマークのニュークビン・ファルスターでプレーする池原綾香が1月に左ヒザの前十字靭帯断裂で離脱して以来、10カ月ぶりに代表のコートに立ち、代表通算94得点目を記録した。結果は22-28で負けてしまったが、日本にとっては過去世界王者に輝いたこともあるブラジルの多彩なオフェンス、素早いディフェンスを、数多くの選手が経験できたことはプラス材料だ。

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