NFLのトレンドは「トリプレッツ」。パス偏重の時代は終わった

  • 永塚和志●取材・文 text by Kaz Nagatsuka
  • photo by AFLO

 現地9月4日(日本時間9月5日)、2019年のNFLシーズンが開幕する。

 ここ数年の特徴としては、「パス偏重」だったリーグに変化が見られるようになった。アメリカンフットボールのオフェンスにおいて、まさに「原点」とも言えるランプレーの価値が見直されているのだ。

セインツの強力な攻撃を支えるRBアルビン・カマラセインツの強力な攻撃を支えるRBアルビン・カマラ たとえば昨季、スーパーボウル王者となったニューイングランド・ペイトリオッツは、フィーチャーバック(エースRB)こそ置かないまでも、複数のRBを駆使して効果的なラン攻撃をしかけるようになった。また、スーパーボウルで敗れたロサンゼルス・ラムズも、スターRB(ランニングバック)のトッド・ガーリーが躍進を支えた。

 パス偏重がラン偏重になった、というわけではない。近年の傾向として肝要なのは、パスとランの双方のバランスを保つことにより、相手ディフェンスの的を絞りにくくさせることが、勝利への近道となってきたのだ。

 1990年代前半のダラス・カウボーイズは、スーパーボウルを3度も制するなど全盛を誇っていた。その強さを支えていたのは、QB(クォーターバック)トロイ・エイクマン、RBエミット・スミス、WR(ワイドレシーバー)マイケル・アービンのオフェンス陣。このトリオを指して、「トリプレッツ」なる言葉が生まれた。

 オフェンスの主要3ポジションである「QB」「RB」「WR」にバランスよく好選手を揃えると、チーム力は格段に飛躍する。今シーズンを占う基準として、どのチームが優れた「トリプレッツ」を擁しているかを見ていきたい。

 最初に取り上げたいチームは、ニューオーリンズ・セインツだ。毎年優勝を狙う力がありながら、ここ2年はポストシーズンで涙を飲んだ。2017-2018シーズンはゲーム終了間際のミスで勝利をさらわれ、2018-2019シーズン審判の判定ミスによって敗北を喫している。

 しかし、セインツのトリプレッツがリーグ最強であることに異を唱える関係者は少ない。今年もスーパーボウル進出の最有力候補なのは間違いなく、「3度目の正直」を狙う。

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