平野美宇が全日本卓球で優勝。「女子16歳トリオ」の明暗を分けたもの (3ページ目)

  • 佐藤 俊●文 text by Sato Shun photo by YOSHIMURA Kanami /PHOTO KISHIMOTO

 
 早田は敗れた後、茫然としていた。

 5回戦、芝田との試合は簡単に2ゲームを連取した後、第3、第4ゲームを失った。第5ゲームを取り返したが、続く2ゲームを落として敗れた。

 自信を持って挑んだ大会だった。

「ここ半年は世界で結果が出ていて、世界で通用するような選手になってきたかなと思っていたんです。でも、国内の試合で日本一にならないと世界のトップになれない。そう思って臨みました」

 伊藤同様に優勝への意欲が強かった。その気持ちがプレーにも乗り移り、序盤は調子がよかった。早田の持ち味であるスピードと回転を生かしたフォアドライブが決まって、相手を寄せつけなかった。

 ところが第3ゲーム、芝田がそのフォアに慣れてくると決まらなくなり、かつ左の二の腕に痛みが走るようになった。2日前に痛め、試合前に痛め止めを射ったが強打を続けたことで、途中から効かなくなったのだ。その影響で肩や腰に負担がかかり、ガタガタと崩れていってしまった。

「3セット目から相手が慣れてきて、打っても打っても返してくる状況で、自分が崩れてしまいました。体力の課題もありますけど、緊張とかで少し姿勢が悪くなって、いつもの打点で当たらなかったり、練習のようにうまくできない。食事、体づくりとか、そういう部分からしっかり見直していきたいです」

 大きな大会でプレーするには、ある程度の緊張が常にともなう。ただ、それも場数を踏めば慣れていくものだ。今回は負傷の影響もあり、結果を残せなかったが、自分の良さが出ている時は、圧倒的な強さを見せた。だからこそ早田にとっては悔しい敗退になった。

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