平野美宇が全日本卓球で優勝。
「女子16歳トリオ」の明暗を分けたもの

  • 佐藤 俊●文 text by Sato Shun photo by YOSHIMURA Kanami /PHOTO KISHIMOTO

全日本卓球女子シングルスを史上最年少で制した平野美宇全日本卓球女子シングルスを史上最年少で制した平野美宇 卓球の全日本選手権、女子シングルスは平野美宇が初優勝を飾った。

 今大会、非常に高い注目を浴びていたのが平野を含む、伊藤美誠(みま)、早田ひなの16歳トリオだった。伊藤は昨年、リオ五輪女子団体銅メダル獲得に貢献し、平野はワールドカップ・シングルスで大会史上最年少の16歳で初優勝を果たした。早田は2016年世界ジュニア選手権大会に伊藤、平野らとともに日本代表として出場し、団体で優勝。ワールドツアーグランドファイナルU-21で優勝、ダブルスも制して、2冠を達成するなどメキメキと力をつけてきた。

 昨年の全日本では"みうみま"が準決勝で対戦し、決勝に勝ち上がった平野が石川佳純に敗れ、惜しくも最年少での優勝を逃した。今年も彼女たちにはそのチャンスが残っており、東京五輪に向けて新たなスタートを切る大事な大会だった。

 しかし、伊藤は5回戦で安藤みなみに、早田も芝田沙季にともに4-2で敗れて、早々に姿を消してしまう。そのなかで唯一勝ち残った平野が決勝まで進み、大会3連覇中の石川佳純をゲームカウント4-2で破って史上最年少(16歳9カ月)の優勝を果たした。

 彼女たちの明暗を分けたものはいったい何だったのか。

 伊藤は安藤との試合、第1ゲームを11-3で取り、完璧なスタートを切った。伊藤曰く「よすぎた」という内容で、松﨑太佑コーチも「今日は調子がいい。対策がハマった」と思ったという。第2ゲームも序盤はその勢いが続いていた。だが、途中で安藤が緩いボールを効果的に使い、変化をつけてくると粘り切れずに11-9で失った。

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