【Bリーグ10年目の開幕】「沖縄愛」を胸に琉球のリング下で体を張るジャック・クーリー 「キングスのファンは世界一だよ」 (2ページ目)
【圧巻のリバウンド力と新たな武器】
Bリーグ全体に「クーリー=リバウンド」という印象が深く根づいているほど、空中戦に強い。3度のリバウンド王獲得はB1史上最多。リーグトップクラスを維持し続ける琉球のセカンドチャンスポイントの多さに大きく貢献し、4シーズン連続でチャンピオンシップ(CS)ファイナルに進出している強さの土台を支える。
もちろんサイズとパワーの優位性はある。ただ、それだけに依存していない。以前、本人にこだわりを聞いたことがある。
「リバウンドは誰が一番ボールを取りたいと思ってプレーしているかが一番重要なこと。そのための情熱を持ち、どれだけの努力をしているかが大事なんです」
その言葉どおり、ボールに対する執着心は突出している。献身的にゴール下でポジションを取り、一直線にボールをつかみにいき、しつこく、何度でも食らいつく。学生時から、尊敬する父に「リバウンドはどれだけハッスルできるかだ」と言われ続けていたという。父はバスケ経験こそないが、息子の成長を促すために自ら学び、助言をくれた。コートに立つクーリーの心中には今もこの格言が響く。
昨季は新たな武器も手にした。ゴール下で体を張るため、チームで最も多くファウルをもらう。そのため、最も多くフリースローを打つ。その成功率がキャリアハイの80.9%を記録したのだ。これまでは60〜70%台だった。
「すごいおもしろいことが起きていました」と振り返る。なぜなら、成功率向上のきっかけが「ケガ」だったからだ。昨季途中に利き手である右手親指を痛め、サポーターを装着してのプレーを余儀なくされた。「もしかしたら、それがいい助けになっていたのかもしれません」。余計な力が抜けたのか、リリースが安定したのか。明確な理由は不明だが、それを機にシュートの感触がよくなったのだという。
ファウルを使って簡単なシュートを防いでも、1点ずつ着実に積み上げられる。重量級センターを相手にするうえで、これほど厄介なことはない。今季も高確率を維持したいところだ。
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