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【Bリーグ】富永啓生「3P成功率50パーセント」宣言 渡邊雄太「シュート力は間違いなく日本で一番」と警戒 (3ページ目)

  • 永塚和志●取材・文 text by Kaz Nagatsuka

【日本代表を引っ張る存在に】

 9月22日行なわれたBリーグのティップオフ会見。富永はシーズンの目標として「3P成功率50パーセント達成」を掲げた。大風呂敷を広げた、あるいは大言壮語したというわけでないのは、彼の真面目な表情が物語っていた。

 もちろん、「50パーセント」は相当に難易度の高い目標だ。だが、仮にそれが優良シューターの指標的な数字とされる「40パーセント」だったら、富永らしさは薄れていたのではないか。

 50パーセント。つまり半分は入れる、いや、入れたい──。そんな彼が抱いていそうな無邪気な思いが、富永啓生という選手を一層、目の離せない存在にする。

「自信はあります」

 目標について問われた富永は、ほとんど即座にそう返し、力強く言葉を続けた。

「50パーセントを決め続けることによって、オフェンスでチームに勢いを与えることができるので、そこにフォーカスしてがんばっていきたいなと思います」

 日本代表チームという観点からも、富永がBリーグに舞台を移したことは大きい。

 今年7月のアジアカップで、日本は準々決勝進出決定戦に敗れて総合9位。八村塁(ロサンゼルス・レイカーズ)、渡邊、河村勇輝(シカゴ・ブルズ2ウェイ契約)、比江島慎(宇都宮ブレックス)といった主力を欠いたとはいえ、この先に向けて不安を残す内容となった。

 そのなかで、全試合で先発出場した富永は42.3パーセントの確率で3Pを決めて、チーム2位の平均16.8得点を記録。数少ない明るい材料を提供した。11月から始まるワールドカップ・アジア地区予選でも、レバンガで出場機会を得ながら試合勘を養いつつ、NBAシーズン真っ只中で参加の望めない河村ら海外組不在の状況で、チームの先頭に立つことが期待される。

 Bリーグは今シーズン、節目の10年目。試合のレベルは年々上がり、個人の技量も右肩上がりだ。そのなかにおいても、少しでも隙を与えればシュートを打ってしまう富永のプレーぶりは異彩を放つに違いない。

<了>


【profile】
富永啓生(とみなが・けいせい)
2001年2月1日生まれ、愛知県名古屋市出身。元日本代表センターの父・啓之氏の影響により幼少からバスケットボールをはじめ、桜丘高3年時のウインターカップでは得点王に輝く。高校卒業後はアメリカへと渡り、レンジャー・カレッジを経て2021-22シーズンよりNCAAディビジョン1のビッグ10カンファレンスに所属するネブラスカ大に編入。最終学年にはエースとしてチームをNCAAトーナメント出場に導く。2022年7月にA代表デビューを果たし、2023年のFIBAワールドカップでは得意の3Pシュートでパリ五輪出場権の獲得に貢献した。2024-25シーズンはGリーグのインディアナ・マットアンズでプレー。2025年6月、Bリーグ・レバンガ北海道に加入することが発表される。ポジション=シューティングガード。身長188cm、体重81kg。

著者プロフィール

  • 永塚和志

    永塚和志 (ながつか・かずし)

    スポーツライター。前英字紙ジャパンタイムズスポーツ記者。Bリーグ、男女日本代表を主にカバーし、2006年世界選手権、2019W杯等国際大会、また米NCAAトーナメントも取材。他競技ではWBCやNFLスーパーボウル等の国際大会の取材経験もある。著書に「''近代フットボールの父'' チャック・ミルズが紡いだ糸」(ベースボール・マガジン社)があり、東京五輪で日本女子バスケ代表を銀メダルに導いたトム・ホーバスHC著「ウイニングメンタリティー コーチングとは信じること」、川崎ブレイブサンダース・篠山竜青選手 著「日々、努力。」(ともにベースボール・マガジン社)等の取材構成にも関わっている。

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