EASL取材メディアから注目されるBリーグ発展と河村勇輝の存在「ハートの大切さを教えてくれた」 (3ページ目)
【国際化を目指す琉球】
中国でバスケットボールサイトを運営している趙環宇氏が、前編で琉球ゴールデンキングスについて言及しているが、それは同チームがBリーグのなかで最も国際化に力を入れてきたことが認知されてきた表われでもある。
琉球は、EASLの前身にあたる「スーパー8」や「テリフィック12」に出場しており、さらに昨年9月にはイタリア・シチリア島での国際招待大会へも遠征している。
元NBAニュージャージー・ネッツ(現ブルックリン・ネッツ)職員で現在は琉球のゼネラルマネージャーを務める安永淳一氏は、Bリーグシーズン直前、あるいはシーズン最中に並行して行なわれる国際大会への参加は「スケジュール的には本当に厳しい」としながら、そうした舞台に飛び込んでいく価値はあると言葉に力を込める。
「キングスの名前は明らかに広がっています。バスケットボール界にいる人で知らない人はいないでしょうし、絶対、琉球ゴールデンキングスの名前が出るようになっていると思います」
安永氏はこのように語り、地道に国外の大会へ出場してきたことが奏功していると手応えを感じている様子だった。
【先進的なBリーグ】
昨年度のファイナル4の際にもBリーグがEASLで果たす役割の大きさについて触れていたヘンリー・ケリンズCEO。彼はBリーグが競技(アジア枠の導入など)、ビジネス(NBAや豪NBLとのパートナーシップなど)の両面において「とても、とても国際的なアプローチをしている」ことに変わらず頼もしさを感じているようだ。
ケリンズ氏はまた、年々収益を伸ばしているBリーグと傘下の球団の取り組みについて、「彼らがアジアだけでなく、世界を見渡しても最も先進的な考え方を持っているのではないか」と賛辞を述べた。
広島の優勝でBリーグ勢にとって2年連続のEASL制覇となり、競技面での強さがより多くの人々の関心を誘った。しかしさまざまな国のメディアに話を聞いていると、競技面においてだけでなくビジネス面においても成長が止まらず、また河村勇輝のような選手を輩出するBリーグに対する関心は高いのだと感じさせられた。
2024-25では10チームが参戦したEASLには来シーズン、モンゴルリーグからの参戦が決定している。その後も、チーム数の拡大が見込まれる。この国際リーグが発展をしていく過程において、特別な存在感を放つ日本とBリーグの果たす役割は大きくなっていきそうだ。
著者プロフィール
永塚和志 (ながつか・かずし)
スポーツライター。前英字紙ジャパンタイムズスポーツ記者。
Bリーグ、男女日本代表を主にカバーし、2006年世界選手権、 2019W杯等国際大会、また米NCAAトーナメントも取材。 他競技ではWBCやNFLスーパーボウル等の国際大会の取材経験 もある。著書に「''近代フットボールの父'' チャック・ミルズが紡いだ糸」(ベースボール・マガジン社) があり、東京五輪で日本女子バスケ代表を銀メダルに導いたトム・ ホーバスHC著「ウイニングメンタリティー コーチングとは信じること」、川崎ブレイブサンダース・ 篠山竜青選手 著「日々、努力。」(ともにベースボール・マガジン社) 等の取材構成にも関わっている。
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