河村勇輝がGリーグでも躍動 ハッスルヘッドコーチが語る歩むべき今季の青写真「比較対象となる選手はカルデロンとボイキンス」 (2ページ目)
【NBA、Gリーグの両チームで1日に2、3度練習することもある】
スワースキーHCが河村の比較対象としてあげたカルデロン(左)とボイキンス photo by Getty Images ツーウェイ契約選手のユウキは、これからもグリズリーズとハッスルを頻繁に往復することになる。どちらでプレーするかはグリズリーズの故障者の多さや、チーム内の役割次第。
私はGリーグのトレーニング、ゲームに集中しており、「TC、今日のユウキはハッスルで練習させてくれ、ゲームにも出してくれ」といった指示を受け、それを遂行させることが仕事になる。日によってはユウキはグリズリーズ、ハッスルの両方で1日に2、3度と練習することもある。それが日程的にタフなのはわかっている。ツーウェイ契約の選手にとっては当たり前のことだなどと言うつもりはないが、彼の立ち位置では何があっても対応できるようにしておかなければいけない。
ツーウェイ契約選手であるということは、まだ発展途上ということを意味する。だとすれば可能な限りの長い時間、コートに立ったほうがいい。自身の力を私やグリズリーズのタイラー・ジェンキンスHC、フロントの人間、スカウトにアピールするためには、とにかくコートに立つこと。非常に長い1日を過ごすこともあるが、ユウキの向上意欲に関しては、私はまったく心配していない。グリズリーズでも、ハッスルでも、彼はプレーするのが大好きであることは見てとれる。(競技に対する)姿勢がすばらしいというだけではなく、実際に中身のある練習ができる選手でもある。そんな姿が変わらない限り、もっといいNBAプレイヤーになっていけるはずだ。
ユウキが参考にすべきNBA選手、比較できるプレーヤーとして真っ先に頭に浮かんでくるのはホセ・カルデロンだ。スペイン出身で、NBAではトロント・ラプターズなどでプレーした司令塔タイプのPGだ。ユウキはカルデロンほど背が高いわけではないが、視野の広さという面で共通点はある。ふたりはともに超アンセルフィッシュで、左右両方の手で上手にアシストできる。ペイント内に入っていくのもうまい。カルデロンにはユウキほどのクイックネス、身体能力もなかったが、アンセルフィッシュなところとノールックパスなどのうまさは似ていると感じる。
また、ユウキを見ていて、身体の強さという点ではアール・ボイキンスのことも思い出させられる。ボイキンスは身長165cmと極めて小柄だったけれど、ベンチプレスで400パウンド(約180キロ)を上げるくらいの力があった。ユウキも力はあり、ディフェンス時にはフルコートで相手選手を追い回すこともできる。そういった姿からはボイキンスを彷彿とさせられる。これからユウキが成長し、カルデロン、ボイキンスのようになっていけるかどうか、私も楽しみに見守っていきたい。
著者プロフィール
杉浦大介 (すぎうら・だいすけ)
すぎうら・だいすけ 東京都生まれ。高校球児からアマチュアボクサーを経て大学卒業と同時に渡米。ニューヨークでフリーライターになる。現在はNBA、MLB、NFL、ボクシングなどを中心に精力的に取材活動を行なう
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