【Bリーグ開幕月点検】中地区はアルバルク東京と吉井覚醒の三遠、西地区は島根が好スタート (2ページ目)

  • 青木 崇●取材・文 text by Aoki Takashi

【西地区:新戦力を軸に島根が開幕ダッシュに成功】

ベンチスタートながら島根の得点源として好調なチームを支えるクラーク(右) photo by B.LEAGUEベンチスタートながら島根の得点源として好調なチームを支えるクラーク(右) photo by B.LEAGUE 9試合中7試合がホームゲームだったとはいえ、島根スサノオマジックは10月23日に琉球相手に37点差で大勝するなど、8勝1敗という最高のスタートを切った。ジェームズ・マイケル・マカドゥー、コティ・クラーク、エヴァンス ルークは、新戦力として期待に応えている。肩の故障で昨季を棒に振ったマカドゥーはインサイドでの得点に加え、ピック&ロールのディフェンス対応で機動力を発揮できるのが強み。ポール・ヘナレHCは「彼の加入はチームにとって大きなプラスだ」と語っている。

 三遠から移籍してきたクラークはシックスマン(ベンチスタートの選手)として登場しているが、平均20点はB1全体で3位という得点力など、オールラウンドなスキルを存分に発揮中。FE名古屋から加入した帰化選手のエヴァンスはリバウンドの強さと3Pも決められるパワーフォワードとして、島根が今季採用するビッグラインナップを機能させるうえで非常に重要。司令塔である安藤誓哉の活躍が必要なのと同様、エヴァンスの存在は島根の勝敗を左右する要素になるだろう。

 琉球ゴールデンキングスはB1に戻ってきた滋賀レイクスに89点を奪われての敗戦に加え、敵地とはいえ島根に大敗と、リズムに乗り切れないシーズン序盤を過ごした。ホームに戻った10月26日と27日の広島戦に連勝して6勝3敗にしたものの、11月はアウェーで好スタートを切った大阪エヴェッサ、佐賀バルーナーズ、千葉Jとの試合がある。島根との差を広げさせないためにも、この6試合で勝ち越せるか否かは大きな意味を持つだろう。岸本隆一、ヴィック・ロー、ジャック・クーリーに加え、新戦力のアヴェ・アルマ、脇真大のステップアップは、勝利を手にするうえで欠かせない。

 昨季の王者・広島は、朝山正悟HCが新指揮官に就任したものの、開幕前の予想以上に厳しい戦いを強いられている。外国籍選手と先発ガード陣の顔ぶれは不変も、河田チリジが開幕前に椎間板ヘルニアで離脱したことの影響は、80失点以上の試合は5戦全敗という状況ということでも明白。ディフェンスの質を高めることが勝利への近道なのだが、得点源のひとりであるニック・メイヨが10月26日の琉球戦で左足首を捻挫したこともあり、11月以降も苦戦を強いられる可能性が高い。

 広島と対照的なのが大阪エヴェッサ。藤田弘輝新HCの下、開幕からの4連勝を含む6勝3敗で3位。昨季はアンジェロ・カロイアロ(現・京都ハンナリーズ)の故障後に連敗地獄に陥ったこともあり、主力のケガを回避することで何とか上位争いに生き残りたいところ。新加入のマット・ボンズが平均18.2点とチームを牽引していることに加え、アジア枠選手のレイ・パークス・ジュニアが平均18点と好調。26日のレバンガ北海道戦で27点を最高に、20点以上をすでに3度記録している。11月2日と3日にホームで迎える琉球戦は、大阪の強さが本物か否かを知る指標になるだろう。

★西地区 順位表/10月31日現在
1 島根スサノオマジック 8勝1敗(.889)
2 琉球ゴールデンキングス 6勝3敗(.667)
3 大阪エヴェッサ 6勝3敗(.667)
4 長崎ヴェルガ 5勝4敗(.556)
5 京都ハンナリーズ 4勝5敗(.444)
6 佐賀バルーナーズ 4勝5敗(.444)
7 広島ドラゴンフライズ 2勝7敗(.222)
8 滋賀レイクス 1勝8敗(.111)

著者プロフィール

  • 青木 崇

    青木 崇 (あおき・たかし)

    1968年群馬県前橋市生まれ。1992年から月刊バスケットボールとHOOP誌の編集者を務めた後、1998年に独立して渡米。アメリカ・ミシガン州を拠点にNBA、NCAA、数々のFIBA国際大会を取材。2011年から拠点を日本に戻して活動を続け、Bリーグの試合で解説者も務めている。

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