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Bリーグ・三遠ネオフェニックス、痛恨の敗退も地域との一体感を体現 (2ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki

【一瞬のスキをつかれて逆転され...】

 広島陣営では、ゴール下で黒いパンツスーツを着込んだ女性がこぼれたボールを回収し、オレンジのジャージの選手たちに戻し、切れ目なくシュートを打たせていた。ひとつに束ねた髪がふわりと揺れる。手際のいい所作で、単なるボール拾いの枠を超え、頼もしくも凛々しい姿だった。

〈全員で戦う〉

 どちらのチームも男女のスタッフが総力を挙げ、チームをフォローしていた。それはいつもどおりの景色なのだろうが、どれだけひとつになって40分で勝ちきれるか。あらためてそれが問われるゲームだった。

 ホームの三遠は第1クォーターこそ落としたが、その後は盛り返していた。チアが「DEFENCE」というボードを両手で掲げると、客席は大合唱。しぶとい攻守で反撃に転じ、デイビッド・ダジンスキーが3Pを決めるなど、第3クォーターで逆転に成功し、55?50でリードした。第4クォーターも、大浦颯太のアシストからダジンスキーの3Pシュートで6点にリードを広げている。

 三遠は、大歓声を背に突き放すチャンスだった。ところが、むしろ3Pを決められるなどして追いつかれてしまう。

「一瞬の間で、相手に3Pを決められてしまって。自分たちが流れを持っていきたかったところで、止められてしまった。フラストレーションがあったというか、集中力が足りなかったというか......スキをつかれてしまいました」

 三遠のポイントガードである大浦はそう説明している。何度か勝利のドアノブに手をかけていたが、その扉を開けられない。結果、66-69で痛恨の敗戦となった。

「(強豪の)島根(スサノオマジック)、琉球(ゴールデンキングス)と、クロスゲームをものにできていることは、自信になっていました。おかげで冷静にアグレッシブに戦えて。シートに(数字として)残らない活躍をした選手もいて、そのおかげで生まれたいいプレーもありました」

 広島のドウェイン・エバンスは、勝因をそう括っている。

 ひとつ言えるのは、こうしたエモーショナルなゲームの数々が、日本のバスケ人気につながるということだろう。今やBリーグの試合チケットは、カード次第では手に入らなくなっている。チームスタッフの人手が回らなくなっているほど大盛況だという。

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