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富樫勇樹が考えるバスケ男子日本代表の課題 自身は「リーダーシップはとっていかなければいけない」 (2ページ目)

  • 三上太●取材・文 text by Mikami Futoshi
  • 加藤誠夫●撮影 photo by Kato Yoshio

【サイズのデメリットをスピードと3ポイントで越えていく】

――東京2020オリンピック以降、トム・ホーバスヘッドコーチ体制になりました。ホーバスヘッドコーチのバスケとはどのようなものですか?

「バスケってそもそも攻守の切り替えが速いスポーツで、それをより速くして、チャンスがあれば3ポイントシュートを積極的に狙っていく。これは現代のバスケの象徴ともいうべきスタイルで、トムさんのバスケもそれを最大限生かした、本当に魅力的なチームです。ファンの方々も見ていて楽しいバスケじゃないかと思います」

――3ポイントシュートも華がありますよね。

「そうですね。もちろん派手なダンクシュートにはすごく華がありますけど、遠くから決める3ポイントシュートもバスケの醍醐味だと思いますし、それを見て、楽しんでいただけたらうれしいですね」

――現時点でのチームの課題はどこにありますか?

「ひとつは経験値だと思います。今の日本代表が世代交代をしているという感覚はないんですけど、トムさんがヘッドコーチになって初めて日本代表に選ばれた若い選手が多くいるのは事実です。彼らは、いわゆる男子日本代表として世界レベルの大会をあまり経験してきていません。もちろんアジアレベルの大会は経験していますが、ワールドカップという大会で彼らがどのようなバスケをできるか。ただ、実はそこを楽しみにしていて、彼らの力を借りて、近年勝てなかった世界の強豪国を打ち破ることできると思っています。それでも質問された"課題"を挙げるとしたら、やはり経験がさほど多くないので、ベテラン、中堅、若手が一丸になって戦うチームを作りあげなければいけないと考えています」

――そうしたチーム作りのなかで富樫選手の役割は何になりますか?

「東京2020オリンピックを経験したひとりとして、世界と戦うチームを作っていくうえでのリーダーシップはとっていかなければいけないと思っています。プレー面では、ポイントガードとしてドリブルで相手のディフェンス網を切り裂いて、自分でレイアップシュートを打つか、パスを出してシューターを生かすポジションなので、スピード感あふれるプレーを見ていただけたらうれしいですね」

――所属チームでもポイントガードを務めていますが、やはり日本代表と所属チームとではプレーの思考を変えていますか? たとえば自らの攻めと、ゲームのコントロールの割合を変えるとか。

「そうした考えはあるかと思います。消極的になっているわけではなくて、やはり日本代表で僕がずっとボールを持っているとチームのリズムが生まれません。日本最高峰の選手が集まっているチームですし、千葉ジェッツよりも自らプレーをクリエイトできる選手が多くいます。そういう意味では、周りを生かす気持ちはあるかもしれないですね」

――でも、チャンスがあれば狙っていくところもありますよね。

「もちろんです。わずかでもチャンスがあればシュートを狙っていくことが僕の強みのひとつでもあるので、積極的に狙うことはもちろんのこと、周りを生かすプレーの使い分けをうまくやっていけたらなと思っています」

――富樫選手はバスケ界では小さい部類に入ります。あらためて今回のワールドカップにおいて、ハンデともいえるサイズを、どのようにクリアしていきたいと考えていますか?

「やはりスピード勝負だと思います。むしろ僕くらいの身長の選手......僕だけでなく河村(勇輝)選手もそうですが、世界トップクラスのサイズの大きな選手って、僕らくらいの身長の選手との対戦がそれほど多くないと思うんです。もしかしたら逆にやりづらいかもしれない。小さいことがいいとは思わないですけど、それを今大会の強みのひとつとして、動き回っていけたらなと思っています」

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