男子バスケW杯で日本は厳しいグループに 「近年、世界大会で全敗中」の日本はサッカー、野球のように前評判を覆せるか (3ページ目)

  • 永塚和志●取材・文 text by Kaz Nagatsuka
  • photo by AP/AFLO

【アジアの宿敵オーストラリア】

 そして29日に行なわれるグループ最終戦は、世界ランク3位のオーストラリアと当たる。W杯予選等でも比較的頻繁に対戦するため、互いのプレースタイルなどはわかっている。その点についてホーバスHCは「プラスとマイナスがある」と話しており、難しさはある。

 オーストラリアは東京オリンピックで銅メダルを獲得しているが、2024年パリ大会での金メダルを目指し、今大会でもそこへ向けてモチベーション高く挑んでくるだろう。サイズがありインサイドでの強さと層の厚さを生かした組織的なスタイルが特徴ながら、近年では個の力にも秀でる選手も出てきている。

 注目はPGながら203cmの長身を持つジョシュ・ギディー(オクラホマシティ・サンダー)で、NBA1年目の2021-22シーズンには史上最年少でトリプルダブルをマークし、2022-23シーズンはさらにチームの中心としてスーパースターへの階段を着実に上がっている存在となっている。

 そのほか、ジョー・イングルス(ミルウォーキー・バックス)やパティ・ミルズ(ブルックリン・ネッツ)といったベテラン勢や、Bリーグ・島根スサノオマジック所属で東京オリンピックメンバーのニック・ケイといった馴染みの顏もロスター入りの可能性が高い。

 今大会のアジア予選で日本は、オーストラリアに対して完敗と呼べる内容で全敗(0勝2敗)しているが、7月のアジアカップでは、破れはしたものの終盤、富永啓生(ネブラスカ大)が3Pを連続で炸裂させるなど、日本のペースでオフェンスを展開しながら差を一気に詰め、相手の指揮官からも「日本の選手たちは自信を持ってプレーしていた」と賛辞を贈られている。ホーバスHCも「最後まで諦めなかった選手たちを誇りに思う」と話し、世界レベルの相手に彼のスタイルが一定程度、通用することを示せたのは明るい材料だ。

 2018年には、千葉で行なわれた前回のW杯アジア予選で、当時、世界ランク10位だったオーストラリアを破る大アップセットを演出し、翌年の本大会出場につなげた。(日本協会によれば公式戦で日本とオーストラリアが対戦したのは9度で勝利したのはこの試合のみ)互いの戦いかたをよく知る両者がどのような手札を切ってくるかも、楽しみだ。

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