強敵イランに圧勝しW杯予選5連勝にも富樫勇樹「ここで満足はしていない」 ホーバスHCが目指す日本男子バスケの完成形 (3ページ目)

  • 小永吉陽子●取材・文 text by Konagayoshi Yoko
  • 松岡健三郎●撮影 photo by Matsuoka Kenzaburo

 ホーバスHCは、女子を指導していた2018年のワールドカップ頃から、現在の男子代表でも引き続き「アナリティック(分析)バスケットボール」を標榜してきた。

 どういうスタイルかというと、得点効率が高い3ポイントと確率が高いゴール下やペイントアタックを重要視し、ミドルレンジやロングツー(3ポイント一歩手前の距離から打つシュート)の2点シュートはなるべく避けるなど、スタッツを分析して組み立てていくスタイルだ。サイズのない日本は、全員がアウトサイドから仕掛ける5アウトのスタイルで行なうが、そのために必要なことは、ポイントガードがボールをプッシュして速いペースを展開し、全員でパッシングとカッティングをしてスペースを作り、トランジションのなかで一番いい形のシュートを打つ。この部分が原則として存在する。

 Window6では、これまで不足していた点を補った。ペースを速くするには攻撃回数を増やすことが必要。そのために、「オフェンスリバウンドとスティールがもっと欲しい」(ホーバスHC)という分析のもと、ホーキンソンと渡邉の加入がピタリとハマった。こうして足りない部分を埋めていく作業が「難しいけどパズルのようで楽しいチャレンジ」とホーバスHCは、Bリーグやディベロップメントキャンプで選手を見極めては、代表に招集して選手層を厚くしてきたのだ。

 そして、いちばん重要な3ポイントについても光を見出していた。昨夏以降、須田侑太郎、井上宗一郎、富永啓生、金近廉らタイプの違うシューター陣が起用されては、タイミングを逃さずに打ち切るようになった。ポイントガードもセンターのホーキンソンもチャンスを逃さずに3ポイントを打つようになった今、ホーバスHCは自信を持って言う。

「Window6で変わった大きなことは3ポイントです。イラン戦は17本(17/37、45.9%)、バーレーン戦は16本(16/41、39%)も決めました。世界のチームから『日本はヤバイ。3ポイントが入る』と思われるイメージを作りたかった。女子のオリンピックでもそうでした。相手が『日本は3ポイントがある。怖い怖い......』とイメージを持ってくれたことで、そこから(3ポイントを警戒してきたことで)ペイントアタックが上手にできたじゃないですか。だから3ポイントのイメージを作ることは大きいし、イメージを作ったと思います」

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