田臥勇太41歳。宇都宮ブレックスで迎える15シーズン目も「バスケットへの情熱は、むしろ増しているように感じる」 (2ページ目)

  • 三上太●取材・文 text by Mikami Futoshi
  • photo by ©B.LEAGUE

――とはいえ、プレーヤー田臥勇太を見たいファンも多いはずです。

田臥 プレーの面では、バスケットをやればやるほど、質をどれだけ上げていけるか、その大事さを感じますね。昔みたいにシュート数が多いわけではないので、与えられた時間のなかで自分がするべきプレーを、いかにチームと連動するなかで質を高くしてやれるかどうか。1本のパスでも、1本のシュートでも、それに込める気持ちの重要性をより感じられています。でもそれはベテランになったからこそ学べる部分で、質をより上げていくチャレンジはしていきたいです。

――若い頃は自分の持っているものを出し切ろうと考えていたところが、プレータイムが少なくなっても、質の高いバスケットをすることによって、よりバスケットの面白さや奥深さに触れているという感じですか?

田臥 そうですね。本当にそうです。それがバスケットの楽しさだったり、難しさだったりしますよね。やはり年齢や経験によって感じることだったり、対応の仕方は当然変わってきます。昔だったら次のプレーでやり返せていたり、自分でクリエイトして、コントロールしてと、いろんなことが可能でした。でも今は違います。メンバーが変わって、コーチも変われば、バスケットのスタイルも変わります。どんな状況であっても質は上げられるし、上げなきゃいけないって思うので、今の年齢、今の経験値でやれる部分を探しながら、その探す作業が楽しみだし、ありがたさでもあります。

――田臥選手が県立能代工業高校1年生で全国区になってきた頃、「なんて質の高い子が出てきたんだろう」と思っていましたが、それをまだ追い求めているのが、もはや異次元に感じます。

田臥 いや、まだまだですよ(笑)。いろんな選手が出てきて、いろんなプレースタイルがあって、それこそリーグ自体も変わってきています。そう考えると、今もチャレンジです。そのなかで基本にあるのは、こうやってバスケットをさせてもらえていることです。チームメイトと一緒に戦えることが非常にありがたいし、プレーヤーとしてもやれることがあるので、1本のパスの大切さをより感じます。

――もっと質の高い良いパスが出せるんだ、それを追求したいという思いが、田臥選手をまだ現役で続けさせる要因なのかもしれませんね。

田臥 そうですね。質の高いパスを出したいという思いや、そのパスの重みは当時と全然違います。でもこれは、年をとってみないとわからないことです。今こうやって現役でやらせてもらえているなかで感じるのは、こうした新たな発見だったり、新たなチャレンジに出会える部分なんだと感じています。

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