「三井寿のセリフが痛いほどわかる」。Bリーグ最年長の五十嵐圭が語った『SLAM DUNK』の影響力 (2ページ目)

  • 水野光博●取材・文 text by Mizuno Mitsuhiro
  • photo by Murakami shogo

――では『SLAM DUNK』で好きなシーンは?

「山王戦のラストプレー、流川(楓)が桜木にパスをするシーンはやっぱり好きですね。あの瞬間、桜木がパスを呼んでいるわけではない。でも、流川には桜木の位置がわかった。バスケ経験者の中には試合中、"あいつなら、ここにパスを出したらいてくれる"と感じ、実際にチームメイトがそこにいてくれた瞬間を経験している人もいると思います。言葉すらいらない信頼関係というか。

 僕で言えば、大学の1年後輩でもある柏木(真介)がそういう存在でした。後輩でありながら、入学当時から有名だった柏木とはライバルでもあり、最初はオンコートで言い合いになることもありました。その後、彼とは日本代表や、新潟アルビレックスBBで再びチームメイトになっています。何も言わないでもお互いのことがわかる。見なくてもどこにいるのかわかる。そういう信頼関係を築ける相手がいるのは幸せなことですし、自分も誰かのそういう存在になれたらなと思います。柏木には今回の群馬への移籍に関しても相談もしていますし、後輩というよりは親友という感覚ですね」

――『SLAM DUNK』で好きな選手はいましたか?

「昔は勝気なPGの宮城リョータが好きでした。今は選手兼監督の藤真(健司)が好きというか、自分から藤真に寄せていっているところすらあります(笑)。学生時代は選手兼監督というのがイメージできませんでしたが、もはや僕よりも年下の監督やGMが増えているくらいですから、選手兼監督というのもありかなと。

 あと自分が学生だった頃は、陵南の(相田)彦一はただの面白いヤツという印象だったんですが、トップリーグでプレーするようになってからはスカウティングコーチ、ビデオコーディネーターといった職業があるように情報収集やデータ分析はチームにとって大切な役割です。彦一なら将来優秀なスカウティングコーチになると思いますね」

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