日本バスケの未来、富永啓生。ジコチュー批判も「それを覆したかった」 (3ページ目)

  • 宮地陽子●取材・文 text by Miyaji Yoko
  • photo by AFLO

 何より、自分がシュートを打ち続けることがチームの勝利には必要だと理解していた。

「自分がチームを勝たせたいっていう意思が強くあって、チームが勝てることを優先にやっていた。チームも自分を活かすようなプレーをほとんど作ってくれていたし、自分が点を決めないとチームが勝てない状態だったんで、何があっても点を取ってくるっていう意識でいました」

 バスケットボールの競技において、シュートして得点を取ることは一番の注目を集めることだ。ゆえに、誰よりもシュートを打ち、誰よりも得点を取っている選手に対して「セルフィッシュ」というレッテルが貼られる。それは日本だけでなく、アメリカでもあることだ。

 しかし、実際にセルフィッシュなプレーというのは、シュートを打つことではなく、チームで求められている役割を果たさないことだ。シュートを打つことが役割ならば、周囲からどんなことを言われてもシュートを打ち続ける必要がある。

「日本はいい意味でチームワークが本当によくて、ボールを回して、ボールを回して......なんですけれど、ここで打てばいいのにっていうところで打たないこともあって。ボールを回していって、結局どこで打つんだっていう話になってくる。

 そういうところで、ひとり、ふたりは絶対に決めてやるっていうシューターがいる。シュートを打って点を決めないことには勝てないんで、ボールを回しつつも積極的にゴールにアタックしていったり、得点にガムシャラになっていったほうがいいかなっていうのは思います」

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 その意識は、アメリカに行ってからも変わらない。むしろレンジャーカレッジでは、ノーマークの状態になった時にシュートを打たないと、コーチから怒られることもあるという。

「シューターというポジションで使ってもらっているので、ノーマークで打たないと怒られる。『ここはシュートだろう』って言われます。チームメイトがこれだけ作ってくれたのに何で打たないんだ、みたいな感じになる」

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