近くなったNBA。田臥勇太に「生まれるのが早かった?」と聞いてみた (2ページ目)
たとえば、それがファウルゲームの最中にヘッドコーチに『ファウルひとつやってこい』とコートに送り出されることもあるでしょう。それでもいい。すべてのプレーが40分のゲームで最終的に勝つために必要なことなので。チームの誰もがそれをわかっているのが、今のブレックスの強さの要因だと思っています」
田臥の役割だけではない。1990年代、2000年代と比べれば、バスケットボールの技術自体が、大きく変化している。ゼロステップ(※)のようなルール改正のみならず、時代とともに新たな技術やスタイルが次々と生まれている。
※ゼロステップ=ボールをキャッチするのと同時に踏んだ足を0歩目として数えること。
「NBAを見ていても、ポジションという概念がなくなりつつありますよね。もはやポイントガードがアシストリーダーにならないこともある時代です。ビッグマンは以前と比べものにならないくらい、求められるスキルが増えました。今の選手は、ポジションに関係なくいろいろできないといけない。
それが、より楽しいですね。僕は今の若手みたいな技ができない分、彼らに、そういう新しい技を使えるようにするために、どうプレーの組み立てをしなきゃいけないかなとか、新しく考えることが増えました。バスケは本当に奥が深い。やればやるほど、底が見えないですね。日々、学ぶことばかりです」
では、競技を取り巻く環境も大きく変り、多くの若手選手の台頭を田臥はどう思っているのか?
「どんどん変わっていくな、と感じますね。Bリーグは特別指定選手という制度ができて、学生がプロのチームでプレーできるようになった。チャンスが増えていいことだなと思います。
僕が高校の時にナショナルチームに選出された時、緊張して何もできませんでした。それに比べて今のBリーグの試合に出場する大学生、高校生はみんな堂々とプレーしているので、すごいなと思います。
だから、僕がどうこう言える立場ではないんですが、あえてベテランとしてアドバイス的なことを言わせてもらうのであれば、『バスケに対して真摯に向き合ってもらえるとうれしい』ということです。僕自身、キャリアの最初の頃は、バスケットをプレーできるありがたみというのは考えもしなかった。
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