コービーが偉大だった数々の理由。唯一ジョーダンの後継者と言える存在だった (2ページ目)

  • 永塚和志●文 text by Kaz Nagatsuka
  • photo by Getty Images

 バスケットボールを知る者にとって、彼の選手としてのすごさについて説明はいらないと思うが、コービーは5度にわたってNBA制覇を果たし、07-08年にシーズンMVPを獲得している。レギュラーシーズン通算33643得点は歴代4位に位置付けられている。16年1月には1試合の記録として、歴代2位の81得点をマーク。リーグのオールディフェンシブチームには、計12度選ばれる(うちファーストチーム選出は9度)など、攻守で傑出していた。

 通算25000得点以上、6000リバウンド以上、6000アシスト以上を記録しているのは彼を含めてこれまで4人しかいない。08年北京、12年ロンドンとアメリカ代表が圧倒的な強さで金メダルを獲得した時のメンバーでもあった。
 
 同じくシューティングガードだったスーパースター、マイケル・ジョーダン(元シカゴ・ブルズなど)とよく比較され、キャリアも重なっていたことから若い頃は「ジョーダンの二番煎じ」という否定的な見方をされていた。

 しかし、徐々にコービーの名前自体がブランドとして確立されていった。蛇足ながら、ジョーダンの後継者、ジョーダン二世と呼ばれても、その期待に応えられない選手がほとんどだった。同じポジションでジョーダンの後継者たる活躍をしたと言えるのはコービーだけだ。

 身体的に技術的にも超一級だった、というだけではなく、彼の‟マンバメンタリティ"に代表される、「常に最高を目指す飽くなき精神力」は、彼をリーグ史に残る選手に、そしてスポーツ界のアイコンにまで押し上げた。ジョーダンとも恐らく共通するが、すでにリーグの頂点にいながら「さらに上」を目指して妥協をまったくしなかった。それをチームメイトにも求めてしまい、時には軋轢も起こしていたようだが、そうした部分がジョーダンやコービーを、他のスター選手たちが触れることのできない領域へと誘ったと言える。

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