来季FAの目玉、カワイ・レナード。
静かなるスターはこれだけすごい

  • 杉浦大介●取材・文 text by Sugiura Daisuke
  • photo by getty Images

 27歳のレナードはシーズン終了後にFA権を取得する。NBA労使協定のシステム上、ラプターズはレナードに最大5年1億9000万ドル(約210億円)の契約を提示することができるが、他のチームは4年1億4100万ドル(約155億円)が上限になる。

 そんな金銭面での差はあるものの、移籍を予想する声は根強い。レナード本人と、長く付き合っているガールフレンドはどちらもカリフォルニア州出身ということもあり、ロサンゼルス・クリッパーズが移籍先の有力候補として挙げられてきた。

 今プレーオフで勝ち進み、レナードが"ラプターズ=優勝が狙えるチーム"という点に価値を見出せば、「トロント残留の可能性が高まる」というのが世間の大方の見方だ。無口なことで有名なレナードの真意を推し量るのは難しく、実際にプレーオフ上位進出が残留への有力なカードになるとは限らないが、もちろん勝ち進むに越したことはない。

 現在戦っているイースタン・カンファレンス・ファイナルでは、第1シードのミルウォーキー・バックスを相手に4戦を終えて2勝2敗。ホームでの第3、4戦で連勝したが、ホームコート・アドバンテージをバックスが持っていることから、依然としてラプターズが形勢不利という見方が一般的だ。ここでプレーオフ敗退となれば、チームのエースの決断にさらなる注目が集まるだろう。

 そんなレナードについて、ラプターズの同僚ダニー・グリーンはこう評している。

「カワイはティム(・ダンカン)から多くのものを受け継いでいる。マナーや、振る舞いなどはよく似ているよ。ティムは興奮しすぎたり、ハッピーになりすぎたりすることがなかった。自分に厳しく、その点ではカワイ以上だった。カワイも自分を責めることがあるだろうけど、見ている側にはわからない。ともあれ、彼らは同じような性格で、共に負けず嫌いだ」

 レナード、グリーンは共にスパーズの出身。大活躍の後でもストイックさが変わらないレナードが、スパーズの黄金時代を築き上げたレジェンド、ダンカンから多くを学んだという指摘は納得できる。

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