100年にひとりの逸材。レアル・マドリードから来たNBAの新人は何者? (3ページ目)

  • 水野光博●取材・文 text by Mizuno Mitsuhiro
  • photo by AFLO

 しかし、94-102と8点のビハインドで迎えた第4クォーター残り2分48秒、まずはコーナーからスリーを決める。そして残り2分5秒にはアイソレーションからステップバックのロングスリーを、さらには残り1分34秒にはパワーでマークマンを押し込んでフローターを決め、102-102の同点へと持ち込んだ。そして最後は残り57秒。ドンチッチはふたたびアイソレーションから、軽快なステップバックでスリーを沈め、なんと11連続得点でチームを勝利に導いたのだ。

 さらには、12月23日のポートランド・トレイルブレイザーズ戦。104-107で迎えた試合終盤、エンドラインからマーベリックスのスローインという場面で、残された時間はわずか0.6秒。そんな絶体絶命の状況のなか、ドンチッチはマークマンを振り切りコーナーでボールを受けると、同時にループの高いシュートを放って同点となるブザービーターを沈めた。

 もはや、そのスター性を疑う者は誰もいない。あまりにも衝撃的すぎて、「すでに完成度が高すぎるので、伸びしろがあるのか?」という声も聞こえ始めている。

 201cmのサイズながら、ボールハンドリングもアウトサイドシュートもうまく、フローターのようなテクニックや器用さを有し、視野の広さも抜群。たしかに、選手として完成の域に達しているようにも見える。

 しかし、ドンチッチが現状に胡座(あぐら)をかくような人柄ではないことを、チームメイトのディアンドレ・ジョーダン(C)がこう伝えている。

「彼は次の段階に進んでいる選手だ。普段は1日中、テレビゲームをしているような穏やかな青年だけど、一度コートに立てば殺し屋になる」

 また、ドンチッチ自身も、現状に満足することは決してないだろう。

 10月31日のロサンゼルス・レイカーズ戦。この試合は、ドンチッチにとって単なる1試合ではなかった。

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