NBAジャズに現れた驚異のルーキーが「45」に込めた野球への想い (2ページ目)

  • 宮地陽子●取材・文 text by Miyaji Yoko
  • photo by AFLO

 それでもジョーダンの番号を選んだのは、自分と同じように野球とバスケットボールをやっていた選手だったから。そして、ジョーダンといえば誰もがすぐに思い浮かべる『23』は、「みんながつけているからつまらない」という理由で選ばなかったのだという。そこに、彼なりのポリシーが感じられる。

 それにしても、今シーズンのミッチェルの活躍ぶりは目覚ましい。レギュラーシーズン79試合に出場し、そのうち71試合がスターター。平均20.5得点・3.7リバウンド・3.7アシストをマークし、フィラデルフィア・76ersのベン・シモンズ(PG)と並んでNBA新人王の有力候補だ。

 ジャズでは、昨年夏にFAでチームを去ったゴードン・ヘイワード(SF/ボストン・セルティックス)に代わり、いきなりエースとしてチームを牽引している。2月のオールスター・ウィークエンドでは、スラムダンクコンテストで優勝もしている。シーズン中に何度も失敗し、小さな壁にぶつかることはあったが、そのたびに学び、成長していった。

 たとえば、相手ディフェンスからのマークが厳しくなり、判断を誤ってターンオーバーを積み重ねてしまったこともあった。そういった失敗から、ミッチェルは味方へのパスを意識するようになり、そのための努力もしたという。

「たとえルーキーであっても、選手は選手だ」

 スナイダーHCは言う。

「同じルーキーでも、選手によって成熟度も違う。ドノバンはチャレンジに対して貪欲な選手だ。だから彼に対しては、さまざまな状況でチャレンジに直面する経験をさせるのが一番だと思った」

 ミッチェルもこう言う。

「シーズン序盤はパスよりも自分でドライブインしていき、時にクレイジーなショットも打ってしまっていた。今はもう少しゆっくりと全体を見ることで、周りで誰がノーマークになっているのか見つけることができるようになった。そのために多くの試合ビデオを見て、チームメイトがどこにいるかを研究した」

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