打倒ウォリアーズの実現へ。ロケッツに不可欠な「ハーデンの相棒」 (4ページ目)

  • 杉浦大介●文 text by Sugiura Daisuke
  • photo by Getty Images

 この苦しい期間に浮き彫りになったのは、強豪チームを相手にした場合、ハーデンにもやはり上質なヘルプが必要だということだ。

 MVP候補筆頭のハーデンの力をもってしても、マークが集中した状態で強豪相手に活路を開き続けるのは難しい。セルティックス戦の終盤も、「ポールがいればこんなに崩れなかったはず」と感じたファンは多かっただろう。

 エースの相棒として、今季は故障がちながら平均16.6得点、8.8アシストを残してきた名司令塔のポールの存在は、やはり絶対不可欠である。ポール、ハーデンを先頭に、アリーザ、アンダーソン、カペラといったスタメンがすべて揃ったゲームでのロケッツは、今季12戦全勝と依然として負けを知らない。

「ポールが万全の状態ならという条件付きで、今季のロケッツはウォリアーズに勝てるチャンスがあると思う。去年までより身体能力に秀でているため、昨季のプレーオフで敗れたスパーズは倒せるだろう。ただ、ウォリアーズの壁を破るとすれば、最大の得点源であるハーデンではなく、メンタル面でタフなポールが好調に動く必要がある。連勝を続けている間も、チームをまとめていたのはハーデンではなくポールの方だった」

 セルティックス戦のあと、地元テレビ局の関係者はそう話していたが、本当に多くのファンや現場の人間が今季のロケッツに注目している。2018年のNBAをより面白くするために、カギを握るチームのひとつであることは間違いない。

 そんな周囲の期待通り、ロケッツは王者への"最強のチャレンジャー"として浮上できるのか。ハーデン、ポールが足並みを揃え、ウォリアーズを脅(おびや)かすことはできるのか。

 圧倒的な強さを誇る昨季の王者に迫るのはかなり難しいが、今季のロケッツはもともと"打倒ウォリアーズ"を想定して作られてきたチーム。プレーオフでの対決が予想される5月に照準を合わせ、長い戦いは始まったばかりである。

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