田臥勇太がバスケを語る。「やればやるほど難しく、それが楽しい」 (2ページ目)

  • 水野光博●取材・文 text by Mizuno Mitsuhiro
  • photo by Sportiva

 能代総合体育館をピンクに染めた「クレイジーピンク」と呼ばれるブースターは、当然、地元の秋田に声援を送る。ただ、田臥の好プレーにも会場は沸いた。

「本当、ありがたいです。今でも自分のプレーを楽しみにしてくれて、応援してくれる人たちがいる。歳を重ねれば重ねるほど、そのうれしさは増すというか。ありがたみがわかるようになりますよね、昔より。こんなこと言うと、なんか自分も歳を取ったなって思いますけど(笑)。でも、そういうのも、本当に自然というか受け入れて、歳を取っていくことが本当に楽しみだって感覚なんですよね」

 36歳となった田臥。能代工業時代から数えれば20年以上、日本バスケットボールの顔だ。それを可能にしているのは何なのか。スピード? いや、トップスピードだけなら、田臥より速い選手は何人もいる。そもそも173cmの身長は、Bリーグの平均身長にすら遠く及ばない。では、バスケセンスか? そんなあやふやな物差しに人生を委(ゆだ)ねるほど、田臥は楽観主義者ではない。

 20年という年月、トップで居続けられた理由はひとつ。田臥が決して、その歩みを止めなかったからだ。誤解してはいけない。バスケットが田臥勇太を選んだのではない。田臥勇太がバスケットボールを選んだのだ。

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