【国内バスケ】選手兼社長となった折茂武彦が「初めて頭を下げた日」 (3ページ目)

  • 水野光博●取材・文 text by Mizuno Mitsuhiro
  • photo by AFLO

 僕自身、給料が払われなくなると、選手がどういう気持ちになったか、身をもって経験している。それなのに、同じことを繰り返さなければいけないとわかっている。もう、何も言えなかったですね......。選手とチームの間に立つのが、何よりもきつかったです」

 気づけば、体重は8キロ落ちていた。そして、ついに折茂は、無謀とも思えるカードを切る。自身の貯金を切り崩し、所属選手の給料を払ったのだ。

「始めたからには責任があります。残ってくれた選手がいる。惜しみなく協力してくれる方もいた。『北海道にチームを残してくれ』という声もある。実際に会場に足を運んでくれる大勢のファンもいる。もともと、バスケ界では日本一観客が入っていた球団なんです。可能性をすごい秘めたチームをなくすわけにはいかなかった」

 そんな経営者的視点に加え、折茂はバスケット人としての想いも相まった。

「バスケット界全体にとっても、北海道にチームを残さなくてはいけない。レバンガをなくしたら、北海道のチームが潰れるのがレラカムイに続いて2度目となってしまう。そうなると、成功するはずがないと、3チーム目を立ち上げようとする人は絶対に現れない。だから、日本のバスケットのためにも潰したくなかった」

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