【男子バスケ】田臥、竹内が目覚めさせた代表の新エース比江島慎 (4ページ目)

  • 小永吉陽子●取材・文・写真 text&photo by Konagayoshi Yoko

 敵将の言葉は、決して敗者への労いだけではなかった。今回の活躍で“比江島慎”の名前は間違いなくアジアに知れ渡ったのだ。

 アジアの注目選手に名乗りをあげた今、目指すのはどんな選手像なのか。

「相手が脅威に思う選手で、4クォーターの大事なところで決め切れる選手」だと本人は言う。

 長谷川HCは「ポイントガードとして使いたいが、その際はシューティングガードにポイントガードの要素を持った選手を組ませると面白いものが出てくる」と言いながらも、「でも、ポイントガードだけになってほしくはなく、型にはハメたくない選手」とも言い、さらなる進化を期待している。

 比江島は秘めた闘志を持っているが、インタビューでは自身の意志を吐き出すのが苦手なタイプ。司令塔としてやっていくならば、田臥のように意思をチームメイトに伝えられるようになり、チームメイトを牽引するプレーを表現しなくてはならない。アジアを見渡しても、比江島のようにパスもさばけ、大事な局面で1対1もできる190cmのガードはあまりいない。だからこそ、オリジナルスタイルを作り上げてほしいが、大事な試合で勝たせるガードになるには、さらなる経験が必要だ。

 悔し涙を振り払ったあと、比江島はこうも語っている。

「昨年くらいから日本代表が面白くなってきました。いま自分は25歳で全盛期に入ってきたので、これからもっとやれると思います」

 田臥や竹内ら、ベテラン陣に支えられながら生まれた新しい日本のエース。日本には点取り屋が他にいる中で、今後はどんなガードに化けていくのだろうか。はじめて本気の悔し涙を流した自覚こそが、比江島の成長を加速させていく。

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