【NBA】勢力図が一変。レブロン加入でキャブスが大本命 (2ページ目)

  • 水野光博●構成・文 text by Mizuno Mitsuhiro photo by Getty Images

表は昨季の順位。丸数字は昨季プレイオフ進出チーム表は昨季の順位。丸数字は昨季プレイオフ進出チーム そのキャブスとカンファレンス・ファイナルで顔を合わせる確率が最も高そうなのは、エースのデリック・ローズ(PG)が故障から完全復活したシカゴ・ブルズだろう。ローズは今夏、アメリカ代表としてワールドカップに出場するも、故障前のような輝きを放つことはなかった。しかし、プレシーズンゲームが始まると、キャブス相手に30得点するなど、キレのある動きを披露。一度失ってしまった「リーグナンバー1PG」の座を奪還する準備は万全だ。

 さらにブルズは、ロサンゼルス・レイカーズからパウ・ガソル(PF/C)、欧州の名門レアル・マドリードからニコラ・ミロティッチ(PF)も獲得し、戦力がさらに充実。リーグ最高のディフェンス戦略を持つトム・ティボドーが引き続き指揮を取り、昨季ローズ抜きでイースタン4位となった実績を加味すれば、完全復活したローズを擁する今季はカンファレンス・ファイナル、さらにその先の景色すら見えてくる。

 キャブス、ブルズを追う第2集団は、ジョン・ウォール(PG)とブラッドリー・ビール(SG)のガードデュオを擁するワシントン・ウィザーズと、昨季6年ぶりのプレイオフ進出を果たし、若く伸びしろのあるトロント・ラプターズか。ただ、この両チームですら、キャブスとブルズとの差はかなりある。

 そこで、ダークホースとして面白いのが、古豪の2チーム――ニューヨーク・ニックスデトロイト・ピストンズだ。ニックスは、FAとなったカーメロ・アンソニー(SF)との再契約に成功したことが大きい。今季は、昨季現役を引退したデレック・フィッシャーがヘッドコーチ(HC)に就任し、GMは言わずと知れたフィル・ジャクソン。このふたりが揃えば、否が応でも想起してしまうのが、「トライアングル・オフェンス」だ。

 もはや伝説と言えるこのオフェンスシステムを用いて、フィル・ジャクソンはHC時代にブルズとロサンゼルス・レイカーズで計11度の優勝を成し遂げた。また、フィッシャーはレイカーズ時代、PGとして5度のチャンピオンに輝いた、トライアングル・オフェンスを熟知する数少ない人材である。トライアングル・オフェンスについて、フィッシャーHCは、「新しいことを学ぶには時間がかかる。だが、このチームには頭の良い選手が揃っているから大丈夫だ」と不敵に語っている。実際、ニックスはゲームコントロールに長けたホセ・カルデロン(PG)を獲得。着々とトライアングル・オフェンス完成に向け、準備を進めている。

 不良債権化しているアマーレ・スタウダマイアー(PF/C)とアンドレア・バルニャーニ(PF/C)の契約が今季まで残っているため、ニックスの勝負は来季以降との見方も強い。だが、彼らもシーズン終了後に有利な契約を結ぶために、奮起するのは間違いない。現時点で評価の低いニックスだが、フタを明けてみれば......という可能性は十分にある。

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