2014.10.16

【NBA】パウ・ガソルはなぜブルズ移籍を決意したのか?

  • 宮地陽子●文 text by Miyaji Yoko photo by Getty Images

 元プロテニス選手のヤニック・ノアを父親に持つシカゴ・ブルズのジョアキム・ノアは、長い髪を団子にまとめた個性的な風貌で目立つ、生粋の自由人だ。だが、彼から発せられる言葉には、いつも真実があふれている。

左から、パウ・ガソル、デリック・ローズ、ジョアキム・ノア たとえば、今シーズンのキャンプ開始を前に言っていた、この言葉――。

「退屈なことは、重要なことだ」

 昨シーズンが終わった直後の5月初旬、ノアは左ひざの手術を受けた。身体への負担の少ない関節鏡手術とはいえ、彼にとっては初めてとなる、ひざへのメス……。手術後、どこまで元の状態に戻るのか、多少なりとも不安があったという。

 健康なひざを取り戻すべく、ノアは夏の間、毎日リハビリをして過ごした。地味で、退屈なワークアウトの日々。だが、NBA選手として、その退屈なリハビリをしっかりとやることこそ、新シーズンに向けて大事なことだと理解していた。

「バスケットボールは、毎日ジャンプして、身体を消耗するスポーツ。ひざの問題は、僕がこの先、ずっと抱えていくことだ。だから、ひざを強くして、動かすために必要な屈曲性を保つため、ワークアウトはやり続けなくてはいけない」

 ノアは新シーズンを前に、そう語った。

 ただ、退屈なリハビリの合間に、ノアはもうひとつ熱心に続けたことがある。それは、フリーエージェント(FA)選手をブルズに勧誘することだ。獲得に動いていたカーメロ・アンソニーがニューヨーク・ニックスに残留することを選ぶと、ノアはロサンゼルス・レイカーズからFAになったパウ・ガソルを熱心に勧誘した。

「チームとして、ブルズはとてもハングリーだと(ノアは)言っていた。その言葉は、とても魅力だった」

 ガソルいわく、ノアの勧誘はチームを過剰に美化したものではなく、実に率直なものだったと振り返る。だからこそ、ガソルは心に響いたという。