【NBL】プレイオフ進出なるか。
北海道と栃木を進化させた「ユーロスタイル」 (3ページ目)
今シーズンは久しぶりにケガもなく万全な状態でチームをリードしている田臥勇太(リンク栃木) ただ、勘違いしてはならないのが、弱者が強者に勝つためのチームプレイといっても、一人一人の基本技術がなければ、両HCが求める"こだわり"のチームプレイは完成しないということ。両チームとも、習得過程の今はつまらないミスから勝ち星を逃すことも多い。そうならないために栃木はスクリーンのかけ方から、北海道はパスを強くするという基本的な練習からやり直している。これらは世界共通のファンダメンタル(基礎的条件)であり、日本人はもっと若年層のカテゴリーから基本練習を積まなければならない警告だと受け止めるべきだろう。
それでも確実に言えることは、両HCのスタイルは習得までに時間はかかろうとも、これまで淡白だった日本男子の戦いに、"競争"をもたらしているということだ。
それは、「今年はセットプレイの数が増えて分析が大変になった」(東芝・北卓也HC)、「いろんな国のHCが来たことは勉強になって大歓迎」(アイシン・鈴木貴美一HC)という、昨季のファイナリストであり、今季ふたりだけになった日本人指揮官たちの言葉からも読み取れる。
そんな北海道と栃木は、今週末の4月19日と20日に北海道のホームで激突する。必死の形相で上位陣に食らいついて粘りが出てきた栃木。チームプレイが徹底できずに6連敗を喫し、迷宮からの脱却を狙う北海道。対照的な状態で決戦を迎えるが、勝負を前にして、両指揮官が選手に訴えたいことは奇しくも同じであった。
「私はヨーロッパ式でコーチしていますが、バスケットそのものは世界にひとつ。一番大事なのは状況を読んで解決する能力をつけること」(栃木・シレイカHC)
「日本人はコーチに言われたことを守り、白黒つけて遂行しようとする能力は高い。でもグレーゾーンになった場合でも、そこから状況判断する力をつけてほしい。これはヨーロッパでもアメリカでも日本でも同じこと」(北海道・ウルタドHC)
リーグを引っ掻き回した両チームだが、プレイオフのチケットをつかめるのはどちらか一方だけ。両指揮官が言うように、いかにチームの共通理解を深めて判断力のあるプレイを展開できるかが、プレイオフ進出のカギを握るだろう。
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