【NBL】プレイオフ進出なるか。
北海道と栃木を進化させた「ユーロスタイル」

  • 小永吉陽子●文・写真 text&photo by Konagayoshi Yoko

 プロリーグ化を睨んで今季発足した男子バスケットボールリーグの"NBL"は、残り4試合となって、いよいよ佳境を迎えている。旧JBL時代より4チーム増加の12チームが参戦。新規参入チームに関しては戦力格差の課題が残るが、上位争いは以前よりも混戦になった。

創部以来、初のプレイオフに向けて挑む北海道のエース桜井良太(レバンガ北海道)創部以来、初のプレイオフに向けて挑む北海道のエース桜井良太(レバンガ北海道) そんな中でリーグを面白くしているのが、残り1枠のプレイオフ進出をかけたイースタン・カンファレンスの3位争いだ。現在3位のリンク栃木ブレックス(以下、栃木)と4位のレバンガ北海道(以下、北海道)の差は1ゲーム。

 北海道は2011-2012シーズンの5位を除けば、創部した2007年以来、常に最下位争い(8チーム中)をしてきた。一方、リンク栃木は2009-2010シーズンに創部3年目でミラクル優勝を果たしたが、以降は司令塔である田臥勇太のケガや、ヘッドコーチ(以下HC)が定着せずに3年連続6位と低迷していた。

 両チームが今季ここまで上昇した最大の要因は、HCの目指すスタイルが浸透してきたからだろう。今季のNBLは12チーム中、10チームのHCが外国人であるが、北海道と栃木の指揮官の共通点はヨーロッパの強豪国から来たということ。

 今季から北海道のHCに就任したファン・マヌエル・ウルタド(以下ウルタドHC)は、スペインやメキシコのクラブチーム、アメリカはユタ大学でのスカウティングコーチなど、様々なレベルでの指導歴を持つスペイン人である。また、栃木で就任2年目を迎えたリトアニア人のアンタナス・シレイカ(以下シレイカHC)は、2004年のアテネ五輪でリトアニア代表のHCを務め、NBA軍団が占めたアメリカから大金星をあげた実績を誇る指揮官だ。

 両チームが目指しているものは、大きな括りで言うと、ヨーロッパではポピュラーなバスケットスタイルと言えるが、細かな基礎技術においては、日本人にとって必要なことが詰まったバスケットだと言える。

 アグレッシブなディフェンスを大前提に「ドリブルを少なくして、全員が状況判断しながらパスワークからチャンスを作るスタイル」と、北海道の攻守の要である桜井良太が言えば、ケガから復活した今季、ゲームメイクと得点の両面で牽引する栃木の司令塔・田臥勇太は「ピック&ロール()を仕掛けながら、全員が動いて一歩二歩と先読みするバスケ」だと語る。

※ピック&ロール=スクリーン(壁になること)を使った2対2のコンビプレイのこと

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