【NBA】「ダンクだけ」じゃない!急成長したブレイク・グリフィン (2ページ目)

  • 宮地陽子●文 text by Miyaji Yoko photo by AFLO

 昨シーズンのプレイオフ1回戦、メンフィス・グリズリーズに2勝してから4連敗を喫して敗れたときは、「いくらグリフィンが人気者と言っても、結局はクリス・ポールのワンマンチームに過ぎない。ポールが抑えられると、何もできない」と批判された。それだけに、ポール不在の時期をグリフィンのリーダーシップで乗り切ったことは、チームの成長、そしてこの先のプレイオフでの戦いを考えると、大きな意味を持っていた。3月24日現在、所属するウェスタン・カンファレンスでは、首位のサンアントニオ・スパーズ(54勝16敗)、第2位のオクラホマシティ・サンダー(52勝18敗)に次いで第3位。勝率7割(49勝21敗)を保っており、プレイオフに向けて好調をキープしている。グリフィン自身、ポール抜きでもチームのエースになり得ることを証明したことで、周囲からの信頼も勝ち取ることができた。

「試合の終盤でも、僕のことを信頼してもらえるようになった」と、グリフィンは語る。

 派手なプレイやダンクコンテストによって一気に人気が出た反動からか、グリフィンは一時期、何かにつけて批判の対象になることが多かった。中でも、グリフィン自身が最も嫌ったのが、「アイツはダンクだけ」と言われることだったという。

 努力していないのなら、批判されても仕方ない。しかし、自分はできる限りの努力をしているという自負があった。

 実際、クリッパーズのスタッフの間では、グリフィンの練習熱心さはよく知られている。昨年6月にクリッパーズのヘッドコーチに就任したドック・リバースも、夏のシーズンオフ期間、オフィスに来ると、いつもコートでグリフィンが練習している姿を見かけたという。そして、シーズンが始まってからも、遠征から戻った直後も、チーム練習が休みでも、コートでシュート練習に打ち込むグリフィンがいた。さらに、コートに立っていないときでも、対戦相手のスカウティング情報が入ったiPadを持ち歩いて研究していた。名選手たちがどうやって頂点にたどり着いたのか――。その過程について貪欲に情報を集め、常に学んでいたのだ。

 また、グリフィンはコート上でのプレイだけでなく、プレイできる身体を維持するために食事にも気を遣い、体調管理を考えてゲームに臨んでいるという。そんな日々の努力があるだけに、自分のプレイを見ようとせず、目に止まりやすいダンクだけを取り上げて批判されることが嫌だったのだ。

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