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【NBA】故障から1年。レイジョン・ロンドが「オトナ」になって帰ってきた (2ページ目)

  • 宮地陽子●文 text by Miyaji Yoko photo by Getty Images

 復帰後のロンドは、正直言って、まだ本調子ではない。1年近く休んでいたのだから、当然だ。試合勘、身体のコーディネーション、大きく入れ替わったチームメイト、新コーチのシステム......。慣れなくてはいけないこと、新たに学ばなければならないことはたくさんある。時間がかかるのだ。辛抱強さ――、それこそ、ロンドが一番苦手なことのはずだった。

 しかし、ロンドの物事に対する考え方は、故障によって大きく変わっていた。

「今回のこと(右ひざ前十字じん帯断裂)は、謙虚な気持ちにさせられるような経験だった。ずっと大好きで、高いレベルでやってきたことができなくなった。その経験から、自分のプレイの出来や結果がどうであれ、とにかくプレイできること、プレイする機会があること自体に感謝の気持ちを持てるようになった。毎朝、目覚めると、自分の大好きなことができる――。それほど恵まれた人は、そう多くいない。自分は今でも競争心が強く、負けたくないという気持ちも強い。そのことは前と変わりない。でも、結局、それは人生の中では小さな部分に過ぎないんだ」

 以前は寝ても、覚めても、バスケットボールのことだけを考え、勝負に勝つことがどんなことよりも優先順位の高いことだった。思ったようなプレイができないときや、試合に勝てないときには、イライラし、フラストレーションを溜めていた。今も、バスケットボールに打ち込み、試合に勝ちたいと思う気持ちに変わりはない。だが、バスケットボールだけが人生ではないということに気づいたことで、まったく違う視野を持てるようになった。そして、毎日バスケットボールができるという、以前では当たり前だったことが、どれだけ恵まれたことなのかにも気づいたのだ。人生で初めての大きな故障と、復帰にかかった1年という時間は、彼の意識を大きく変えた。

「今でもやりたいと思ったこと、自分が打ち込んだことは何でもできるという意識に変わりはないが、前よりも少しだけ謙虚になったことが、今回の経験で得たことだ。今でも生意気だけれど、でも、前よりも謙虚だよ」

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