【NBA】デリック・ローズ抜きのブルズに勝算はあるのか?
レギュラーシーズン後半に入って調子を崩したシカゴ・ブルズ。立て直すことはできるのか? 一昨年、そして昨年と、2シーズン続けてイースタン・カンファレンス1位の座に輝いた強豪シカゴ・ブルズ。しかし今シーズンは、プレイオフ進出をほぼ手中に収めているものの、首位マイアミ・ヒートに17.5ゲーム差まで引き離され、カンファレンス5位(38勝31敗)という順位に甘んじている。その主たる要因は、デリック・ローズの長期離脱に他ならない。はたしてローズを欠いたブルズは、プレイオフで再び強さを取り戻すことができるのだろうか。今回の『佐古賢一のカットインNBA』では、どうすれば名門ブルズが復活できるのか、その打開策について聞いてみた。
デリック・ローズが昨シーズンのプレイオフ1回戦で『左ひざ前十字じん帯断裂』という大ケガを負ったことにより、今シーズンのシカゴ・ブルズはエース抜きでの戦いを余儀なくされました。それでもブルズは持ち前のディフェンス力を武器に、チーム一丸となって勝ち星を伸ばし、一時期は首位争いまで演じました。しかし、今年2月ごろからケガ人が続出し、連敗を喫するようになると、自分たちのバスケットスタイルまで見失ってしまったように感じます。ブルズはもう一度、プレイオフに向けて戦い方を修正する必要があるでしょう。具体的には、改めて各プレイヤーの仕事内容をハッキリさせなければなりません。
もともとブルズは、得点の多く取れないチームです。それでも、「相手チームを80点台に抑えて、90点台を取って勝つ」という確固たるスタイルがありました。しかし最近は、100点を取られて負けるケースが目立っています。つまり、ブルズの強みだった「ロースコアで勝つパターン」が、まったく発揮されていないのです。
ただ、ブルズの問題点は、ディフェンス面ではありません。中距離のシュートに対してディフェンスのローテーションが機能しないというウィークポイントは、以前から指摘されていました。3ポイントシュートをしばしばノーマークで打たれているシーンも、たびたび見受けられます。しかし、インサイドにドライブで切り込まれた際のアジャストは、まったくと言っていいほど問題ない。しっかり対応できています。インサイドへのマークの徹底ぶりはとても良く、自分たちの強みを存分に発揮できているでしょう。むしろ問題なのは、ディフェンスシステムに意識が行き過ぎるあまり、オフェンスシステムがぼやけてしまっているという点です。
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著者プロフィール
佐古賢一 (さこ・けんいち)
1970年7月17日生まれ、神奈川県出身。179cm/ポイントガード。北陸高→中央大→いすゞ自動車→アイシン精機。日本を代表する司令塔として活躍し、『ミスターバスケットボール』と呼ばれる。的確な判断力と要所の得点力で、JBLリーグ優勝9回、全日本選手権優勝12回を果たす。2011年に現役引退。
WOWOW(http://www.wowow.co.jp/sports/nba/)でNBA解説など活躍の場を広げている。現在はJBA理事ナショナル男子を担当。近況はコチラ