【男子バスケ】パナソニックが最後のオールジャパンで見せた意地と絆

  • 横谷和明●取材・文 text by Yokoya Kazuaki

(C) JBA(C) JBA まさに劇的な優勝だった。

 今シーズン限りでの休部が決まっているパナソニックトライアンズがオールジャパンで見せた価値ある、そして意地の日本一奪取。試合終了直後、コートの中央でチームメイトが歓喜の抱擁をかわしているすぐ隣で、ベテランのポイントガード、木下博之は共に長きにわたりチームを牽引してきたキャプテンの永山誠と抱き合っていた。

「ずっと一緒にやってきて、お互い苦労してきた部分があるだけに、最初に喜びを分かち合いたくて行ったんです。『ありがとう』って伝えましたね」と、少し照れくさそうに振り返る。

 今シーズンのパナソニックは、波乱の幕開けだった。「今季限りで休部する」という会社の発表を受け、選手たちは目の前のプレイに集中できない日々が続いた。また故障明けの選手が多く4連敗を喫するなど、なかなかメンバーを固定できない苦しい試合を余儀なくされた。

 ようやく状況が好転し始めたのは12月中旬で、「選手の来季の移籍先がほぼ決まり、落ち着いた心境でプレイできるようになった」と清水良規ヘッドコーチ(以下HC)。選手のコンディションも上がり、「メンバーを固定できるようになったこと、スタイルを変更したことが大きかった」と木下は説明する。

「今までパナソニックはラン&ガンが少なかったんですけど、ウチのフォワードには広瀬(健太)や大西(崇範)など走力のある選手がいる。1カ月ほど前から、速い展開のバスケットスタイルに変えたことが、良い結果を生んでいると思います」

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