検索

【F1】角田裕毅「ホンダの存在なくして今の僕はなかった」 レッドブル残留をかけた勝負の週末 (3ページ目)

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki

【ホンダのF1初優勝から60年】

 航空機エンジンのノウハウを生かしたセッティングがピタリとハマってホンダが初勝利を収めたのが、まさに60年前のこの場所──1965年のメキシコGPだ。

 F1挑戦2年目の快挙から60年の時を経て、初勝利を挙げたマシンRA272が今週末、このメキシコシティを走る。ステアリングを握るのは、角田裕毅だ。

「去年のグッドウッド(イギリスのモータースポーツイベント)でドライブしましたけど、音がすさまじかったですし、今とは全然違うクルマでした。すべてがダイレクトで、挙動の変化を感じられて、乗っていて楽しいマシンでした。ホンダドライバーとしてそのマシンを初優勝の地でドライブできるのは、すごく光栄なことだと思います」

 朝9時25分スタートという早い時間帯のデモ走行だが、「早起きした甲斐があったなと思えるようなマシンだと思うので、楽しみです」と角田は笑う。

「なんちゃってヒールアンドトゥはできますけど、変なことをして壊すのが恐いので、一つひとつ慎重にギアを落としながら走りたいと思います(笑)」

 今までは決して相性のよくなかったメキシコシティだが、それはあくまで決勝の流れのなかで噛み合わなかっただけだ。

 今年はレッドブルに移籍し、レースペースも磨き、アグレッシブさと守りのバランスも着実によくなってきた。

 RA272のドライブを前に、角田は言う。

「今は精一杯、結果を出すことしか考えてないですね。あとになって振り返った時に『レッドブルとホンダの最後のシーズンにいい走りができた』と言えるようにするために、今は集中しています。

 あと数戦で最後になるのはまだ実感がないですけど、ホンダさんの存在なくして今の僕はなかったわけですし、その感謝とともに今回設けてくださったこういうすばらしい機会にドライブしたいと思っています。自分は自分で最大限のパフォーマンスを出していけるようにしていきたいと思っています」

 歴史的快挙から60年の時を経て、角田裕毅がRA272とRB21でどんな走りを見せてくれるのか、楽しみにしたい。

著者プロフィール

  • 米家峰起

    米家峰起 (よねや・みねおき)

    F1解説者。 1981年1月31日生まれ、兵庫県出身。F1雑誌の編集者からフリーランスとなり2009年にF1全戦取材を開始、F1取材歴14年。各種媒体に執筆、フジテレビNEXTやYouTube『F1LIFE channel』での解説を務める。

【写真】角田裕毅、ピアストリ、フェルスタッペン、ハミルトン...F1 2025年前半戦ベストショット集

3 / 3

キーワード

このページのトップに戻る