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40歳のハミルトンは苦境の一方、ルーキーたちがいきなり活躍 中野信治が解説する「若手とベテランの明暗」の背景 (4ページ目)

  • 川原田 剛●取材・文 text by Kawarada Tsuyoshi

【40歳で移籍のベテランは対応できていない】

 長年在籍したメルセデスを離れ、フェラーリに移籍し、40歳で新たな挑戦を始めたルイス・ハミルトン。前半戦は第2戦中国GP(3月23日決勝)のスプリントレースで優勝しましたが、苦しい戦いが続きました。

 やっぱり彼はまだフェラーリのマシンに慣れていない。すでにフェラーリに7シーズン在籍し、マシンの特性を知り尽くしているシャルル・ルクレールのほうが速いのは当たり前のことです。

 フェラーリのマシンはリアがピーキーに見えますが、そのピーキーなマシン特性にハミルトンは対応できていないというか、ドライビングスタイルが合わせ込めていません。

 データを見ると、ルクレールはフェラーリのピーキーな部分を消すために、スロットルとブレーキを同時に使っています。そうすることでマシンのピッチング(前後方向の揺れ)をできるだけ減らしてダウンフォースを安定して発生させているのですが、このルクレールのドライビングはかなり特殊です。

 ハミルトンが今まで培ってきた走らせ方をフェラーリに移籍したからといってパッと変えられるかと言われると、それはなかなか難しい。前半戦を見ていると、リアのピーキーさが出づらいサーキットもありますし、セットアップによって消せる場合もあります。そういうところではハミルトンはパッと上位に入ってきますが、シーズンを通して見ていくと、やっぱりルクレールに比べ、パフォーマンスが見劣りすると言わざるを得ません。

 フェラーリで19年目のシーズンに臨んでいるハミルトンが前半戦の経験をもとに、どこまでマシンに合わせたドライビングができるのか。後半戦の大きな見どころだと思います。

後編につづく

【プロフィール】
中野信治 なかの・しんじ/1971年、大阪府生まれ。F1、アメリカのカートおよびインディカー、ルマン24時間レースなどの国際舞台で長く活躍。現在は豊富な経験を生かし、ホンダ・レーシング・スクール鈴鹿(HRS鈴鹿)のエグゼクティブダイレクターとして、国内外で活躍する若手ドライバーの育成を行なう。また、DAZN(ダゾーン)のF1中継や毎週水曜のF1番組『WEDNESDAY F1 TIME』の解説を担当、2025年夏、世界中で大ヒットしたブラッド・ピット主演の映画『F1 / エフワン』の字幕監修も務めた。

著者プロフィール

  • 川原田 剛

    川原田 剛 (かわらだ・つよし)

    1991年からF1専門誌で編集者として働き始め、その後フリーランスのライターとして独立。一般誌やスポーツ専門誌にモータースポーツの記事を執筆。現在は『週刊プレイボーイ』で連載「堂本光一 コンマ1秒の恍惚」を担当。スポーツ総合雑誌『webスポルティーバ』をはじめ、さまざまな媒体でスポーツやエンターテイメントの世界で活躍する人物のインタビュー記事を手がけている。

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