【F1】角田裕毅の苦戦の裏側「決して腐っているわけじゃない。努力が実を結ぶ日が来る」ホンダ・折原伸太郎が語る (3ページ目)
【フェルスタッペンのすごさとは?】
ーーあらためてフェルスタッペン選手の間近で仕事をしている折原さんに聞きたいのですが、彼はどこがすごいのですか?
マシンに起こっている事象をすべて理解していることだと思います。セッションが終わったあと、チームのミーティングがあって、フェルスタッペン選手はマシンの状況をレポートしてくれるのですが、本当にこと細かく覚えています。
「あのラップでクルマの動きはこうだったけど、次のラップではコーナーのクリッピングポイントではこういう動きで、出口はこういう動きだった......」という感じで話してくれます。
彼は時間が許せば、走り始めの1周目から全周回でマシンがどんな動きをしていたのかを説明できると思います。頭のなかでマシンがどんな動きをしているのかを完全に理解しているからこそ、エンジニアに対してどう直してほしいと的確に指摘ができます。そこが彼のすごさだと思います。
ーー2025年シーズンはフェルスタッペン選手のドライバーズタイトル5連覇と、コンストラクターズタイトルの奪還がかかっていましたが、タイトル争いは厳しい状況にあります。後半戦はどんな目標を持って戦うつもりですか?
チーム側とは「チャンピオン争いは置いておいて、それぞれのレースでベストの戦いをしよう」と話しています。ホンダとしても同じスタンスで臨みます。それぞれのレースに対してしっかりと準備をして、最大限のパフォーナンスを発揮できるようにしたいです。それがうまくできれば、きっと結果に結びつくと思いますので、ぜひ応援してください。
終わり
【プロフィール】
折原伸太郎 おりはら・しんたろう/1977年、東京都生まれ。ホンダF1第2期活動(1983〜1992年)でのマクラーレン・ホンダの活躍を目の当たりにしてF1の世界に憧れ、2003年にホンダ入社。市販車用エンジンの開発に携わったあと、ホンダ第4期F1プロジェクトの立ち上げメンバーとして参画。イギリスの前線基地の立ち上げ、日本国内でのPU開発に携わり、2023年からトラックサイドゼネラルマネージャーを務める。2024年末からレッドブルでのPUのチーフエンジニアも兼任。
著者プロフィール
熱田 護 (あつた・まもる)
フォトグラファー。1963年、三重県鈴鹿市生まれ。2輪の世界GPを転戦したのち、1991年よりフリーカメラマンとしてF1の撮影を開始。取材500戦を超える日本を代表するF1カメラマンのひとり。
川原田 剛 (かわらだ・つよし)
1991年からF1専門誌で編集者として働き始め、その後フリーランスのライターとして独立。一般誌やスポーツ専門誌にモータースポーツの記事を執筆。現在は『週刊プレイボーイ』で連載「堂本光一 コンマ1秒の恍惚」を担当。スポーツ総合雑誌『webスポルティーバ』をはじめ、さまざまな媒体でスポーツやエンターテイメントの世界で活躍する人物のインタビュー記事を手がけている。
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