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【F1】苦境レッドブルの要求に変化「リスクを取っても限界ギリギリを...」ホンダ・折原伸太郎が明かす現場のせめぎ合い (3ページ目)

  • 熱田 護●インタビュー・撮影 interview&photo by Atsuta Mamoru
  • 川原田 剛●構成 text by Kawarada Tsuyoshi

【ベストな結果のために毎戦全力】

ーー今シーズンは全24戦で競われます。年間4基で戦うためには単純計算をすると、1基のPUで6レースを戦えれば、ペナルティなしで乗りきれます。新品と6レースを戦ったPUでは、どれくらい性能がダウンするものですか?

 そこは企業秘密ですが、性能劣化は確実にあります。ただホンダは他のメーカーに比べて劣化が少ないと言われています。具体的な数字は言えませんが、予選の順位で言えば、かなり接戦のところでポジションに影響が出るくらいのイメージになります。

ーーライバルを引き離し、チャンピオン争いを独走していた時代とは戦い方がかなり変わってきていますね。

 今シーズンのレッドブルは金曜日のフリー走行1回目と2回目でなかなかいいタイムが出なくて、夜の間に頑張ってリカバリーして土曜日の予選でタイムをひねり出してくる......というパターンが多い。

 我々ホンダのエンジニアは、毎戦エネルギーマネジメントのセッティングを事前にシミュレーションで用意し、金曜日のフリー走行でドライバーが実走しながら調整していく流れになっています。

 でもフリー走行と予選でのデータの乖離(かいり)が大きいというのは、データの合わせ込みが多少大変になってきますし、精度にも影響します。そういう細かい点を含めて大変なところはありますが、毎戦ベストの結果を出せるように全力を尽くしています。

後編につづく

【プロフィール】
折原伸太郎 おりはら・しんたろう/1977年、東京都生まれ。ホンダF1第2期活動(1983〜1992年)でのマクラーレン・ホンダの活躍を目の当たりにしてF1の世界に憧れ、2003年にホンダ入社。市販車用エンジンの開発に携わったあと、ホンダ第4期F1プロジェクトの立ち上げメンバーとして参画。イギリスの前線基地の立ち上げ、日本国内でのPU開発に携わり、2023年からトラックサイドゼネラルマネージャーを務める。2024年末からレッドブルでのPUのチーフエンジニアも兼任。

著者プロフィール

  • 熱田 護

    熱田 護 (あつた・まもる)

    フォトグラファー。1963年、三重県鈴鹿市生まれ。2輪の世界GPを転戦したのち、1991年よりフリーカメラマンとしてF1の撮影を開始。取材500戦を超える日本を代表するF1カメラマンのひとり。

  • 川原田 剛

    川原田 剛 (かわらだ・つよし)

    1991年からF1専門誌で編集者として働き始め、その後フリーランスのライターとして独立。一般誌やスポーツ専門誌にモータースポーツの記事を執筆。現在は『週刊プレイボーイ』で連載「堂本光一 コンマ1秒の恍惚」を担当。スポーツ総合雑誌『webスポルティーバ』をはじめ、さまざまな媒体でスポーツやエンターテイメントの世界で活躍する人物のインタビュー記事を手がけている。

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