【F1】角田裕毅「雨のシルバーストン」では打つ手なし フェルスタッペンですらスピンしてしまうほど (2ページ目)
【ドライなら戦える可能性はあった】
自分たちにとっては苦しいコンディションであることが分かったうえで臨んだレースだった。だが、フェルスタッペンですらタイヤのスライドによるオーバーヒートとデグラデーション(性能低下)に苦戦を強いられ、スピンを喫してしまうほどだった。
そのフェルスタッペン車よりも旧型のフロアを装着した角田裕毅のマシンは、さらにダウンフォースが少なく、より厳しい戦いを強いられるのは当然のことだった。
「デグラデーションがクレイジーでした。ペースはかなりひどくて、特にインターミディエイト(タイヤ=小雨用タイヤ)のペースが全然上がらなくて。最初はよかったんですけど、そこからデグラデーションの進行があまりにもひどかったです」
11番グリッドからスタートで9位に上がり、序盤は集団のなかで走っていたものの、徐々にペースが低下。34周目にDRS(※)が解禁されると、集団のなかで走ってDRSが使える前走車たちと、そこから離れてDRSが使えない角田との差は、さらに広がってしまった。
※DRS=Drag Reduction Systemの略。追い抜きをしやすくなるドラッグ削減システム/ダウンフォース抑制システム。
路面が乾いてミディアムタイヤに履き替えた終盤は、3位ニコ・ヒュルケンベルグ(キックザウバー)と同等のペースで走り、周回遅れにされることは免れた。
つまり、ドライコンディションであればまだ戦える可能性はあった。だが、削りに削ったリアウイングと旧型フロアでは、ウェットコンディションでドライバーにできることはほとんどなかった。
ヒュルケンベルグと同じように、雨が到来する直前の9周目に先手を打ってピットインするギャンブルを打っていれば、その時点で4位まで上がることはできたはずだ。しかし、ウェットコンディションでそのポジションを維持するだけのペースは、角田車にはなかった。
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